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見城徹

[かに吉]山田大将の凄さは「カニ」への想像力だ。そして、カニだけではなく野菜をはじめパンや米まで全ての食材に精通している。全ての旬が頭に入っている。カニを中心にどれとどれをどうやって料理し、掛け合わせるかを天才的な閃きで決めて行く。そのプロセスの繊細さと圧倒的努力は息を呑む。かくしてこの世あらざる料理がその日の客に供される。その日の天候や温度や湿度、大将の気分や店の空気が関係するから同じ料理は2度と出来ない。客は大将の葛藤と瞬時の判断を堪能するのだ。日本全国から毎日鳥取まで客を集め、[かに吉]を予約が取れない店にしているのは山田達也大将の料理に賭ける「真心」だ。 店を出る時、山田大将と客は「真心」で通じている。だから、自然に涙が出る。僕は[かに吉]を出る時、泣いていた。[かに吉]はそういう店だ。

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