支援機構起動時音声認証 その確認フェーズ スタンバイから登録までをサポート役のYUKIRIN、MIYUKIが息を合わせたこともさうだが、認証システムに誤認させるほどの息の合い方は最早賛辞に値する… だが、現実は厳しい。 「うおぅ！？」 「なんだなんだ！？」 きりんの羽織は全身にフィット感を増していたが、色がグラデーション掛かった青緑色で、流動的に色を変えていた… きゅーちゃんの腕甲も装着に問題は無さそうに見えるが、その光沢のある白い甲は既に変色し、エメラルドグリーンを基調として色彩を変化させている… 「やりやがったwwwww」 「あちゃー…」 「まったく…」 「ちょっとぉ、何してんのさ…」 ほぼ同時に反応した四人であったが、じょんれのんは「期待通りだねぇw」という悪戯っ子のような笑顔でにやにやと二人を眺める。 現実を見るみずは「どうしたものかな…」と腕を組んだが、意思を他に向ける様子だ。 ちょーるに至っては言うことを聞かない弟たちに呆れる姉のように溜め息を吐きながら、額を押さえている。 此処に至り「大変なんだよ！」と、一人奮起しているたまごに、まさかの事態で気が動転している二人が言葉を探しながら声を発した。 「「だってぇ～！」」 しかし、YUKIRINもMIYUKIも続く二の句が見つからない… 「なんできりんさんの服が青緑色になっちゃってんだよぉ！」 「ぼ、僕の腕のプロテクターもエメラルドグリーンに！？」 きりんはグラデーション掛かって変化を止めない自身の衣装に、若干の苛立ちを込めて意見している。 逆にきゅーちゃんは、状況の変化に混乱している様子であり、疑問ばかりが浮かんでいる様子だ。 新システムにパートナーとの親和性を組み込んだたまごであったが、流石にこの状況は予期できず、眉をへの字にさせながら呟く。 「どんなシンクロの仕方してくれちゃってんのさ…」 「「慎黒さん？」」 「それはもういいw」 何処までも息の合うきりんときゅーちゃんであったが、最早突っ込みを入れるのはじょんれのんだけであった。 「二人はほっておきますか…ちょーるさん、どうぞ♪」 混沌としてきた状況に見切りを付けると、後程状況の回復を考えることとして、みずはちょーるの手にその旋律を渡した。 「待たせたな♪」 ニカッ と、太陽のように輝き、少年の笑顔を連想させながらも、その透き通った声をパートナーに届けると、ちょーるはそれを優しく迎える。 「おかえり、SAYAKA♪」 形状が若干変更になったパートナーを、慈しむように迎えたちょーるに、みずが微笑みながら告げる。 「あちらの二人のものもそうですが、支援機構は大幅に強化してますから♪」 「戦いたくはありませんが…」 「しゃーないな♪」 みずがSAYAKAの強化改修について話そうとすると、少し悲しげにパートナーを見つめるちょーるであったが、阿吽の呼吸で微笑みかけるSAYAKAであり、みずはとっておきの報告をする。 「此方は…そうですね…名付けて『セブンスソード』とでも言いますか♪」 「何を文字っとんねん♪」 「追い追い確認します♪」 セブンスソード 単純に訳すならば七つの剣 SAYAKAはギターを象った支援機構であり、そのコード、弦は以前六本であり、今回の改修で七本になっていたのだ… 使われないはずのコード… そして剣とは？ 突っ込みを入れるSAYAKAに対して、調子を戻しつつもちょーるは油断をしない。 すると「流石ですね♪」と言わんばかりにみずが話す。 「設定、先にしといてよかったですね…」 「転ばぬ先の杖です♪」 支援機構の初期設定 それを既に済ませていたちょーるは、もしかしたらこの状況に、きりんときゅーちゃんの、言い換えるならばその惨劇に捲き込まれまいとしていたのかもしれない… それを核心に変えるのは、やはりパートナーの声であり、ただ誉める訳ではなく、最大の畏敬を込めて言葉を紡いだ 「抜け目ないな♪」