生まれて間も無く見つかった心臓病、機器に繋がった心臓とともに懸命に生きる男の子。
3歳になった今も、一度も外に出たことがなく、窓の向こうの景色だけ、外の匂いさえ感じたことがない。
滅菌状態維持のため、2歳上のお兄ちゃんと会うのはガラス越しのみ、その温かさに触れたこともない。
クリスマスも、正月も、誕生日も全てベッドの上で迎えた。
お母さんは病室のソファで寝泊まりしながらの24時間付き添い、自宅に帰るのは月にほんの数日。そんな生活を2年以上続けている。
近くにいるのに、会いたいのに、一度も揃うことのできない食卓。離れ離れの家族。
誰もが普通に体感している「家族団欒」、それだけを望んで踏み出した心臓移植手術への道。
費用 3億5000万円。
途方も無い金額に向け、仕事の合間に街頭に立ち募金呼びかけ。
そこに飛んでくるネット上での心無い中傷。
覚悟はしていても苦しい現実。
それでも希望を胸に立ち続ける家族、友人。
何気なく生活している人にこそ知ってほしいなと切に願う。
https://www.genki-o-chan.com/
久我雄三 「頭のメモ」と「心のノート」
トーク情報- 久我 雄三
久我 雄三 『暗殺』 柴田哲孝
「この物語はフィクションである。」
たったこの1行で ”自由の翼” を手に入れた作者が
内に秘めたすべてを解き放ち、思いのままに飛び回って書き上げた…
タイトルの重々しさとは裏腹に、そんな解放感と疾走感で、あっという間に一気読みした。そして圧倒的な納得感。
あの事件に関してもやついていたことへの「解」と「末恐ろしさ」を存分に味わえる、とんでもなく凄い1冊だった。
この1冊で、今後の人生の中で、世の中の見え方、ニュースの受け止め方がひっくり返る人も少なくないと思う。
読み終えたときの「凄い本書いたな…」という衝撃がすさまじい分、冒頭の1行の存在の大きさをまざまざと実感。
これ、読まないと人生損する。とマジで思った。 久我 雄三 見城徹見城徹 「ちひさな群への挨拶」 吉本隆明
ぼくはでてゆく
冬の圧力の真むかうへ
ひとりつきりで耐えられないから
たくさんのひとと手をつなぐといふのは嘘だから
ひとりつきりで抗争できないから
たくさんのひとと手をつなぐといふのは卑怯だから
ぼくはでてゆく
すべての時刻がむかうかはに加担しても
ぼくたちがしはらつたものを
ずつと以前のぶんまでとりかへすために
すでにいらんくなつたものはそれを思ひしらせるために
ちひさなやさしい群よ
みんなは思ひ出のひとつひとつだ
ぼくはでてゆく
嫌悪のひとつひとつに出遇ふために
ぼくはでてゆく
無数の敵のだまん中へ
ぼくはつかれてゐる
がぼくの瞋りは無尽蔵だ
ぼくの孤独はほとんど極限に耐えられる
ぼくの肉体はほとんど苛酷に耐えられる
ぼくがたふれたらひとつの直接性がたふれる
もたれあふことをきらつた反抗がたふれる
ぼくがたふれたら同胞はぼくの屍体を
湿つた忍従の穴へ埋めるにきまつてゐる
ぼくがたふれたら収奪者は勢ひをもりかへす
だから ちひさなやさしい群よ
みんなのひとつひとつの貌よ
さやうなら- 久我 雄三
久我 雄三 「ぼくのお日さま」
監督・撮影・脚本・編集 奥山大史
繊細で淡くて、温かくて、切ない。そして小さな勇気が残るとても素晴らしい映画だった。
どこか塞がったように感じる日常の中に芽生えた何気ない気づきと、そこから始まるさりげない一歩。その一歩が、閉じていた日々に光を差し込ませ、いつの間にか明るい毎日に変えていく。
逆もまた然り。ちょっとした食い違いと違和感が、瓦解を生んでしまうこともある。
だけど、止まっていた時には生まれなかった、前に進んだり後退したりしたときに生まれた心の動きと残ったかけらが、また新たな一歩を踏み出す後押しになって、自分の世界が変わるきっかけにつながっていく。
世界が変わるって何てことないきっかけかもしれない。そう感じさせてくれる映画でした。
そう考えると残ったのは、小さな勇気ではなく、大きな勇気かもしれないなー。