〈この世にはふたつの人間の種族がいる、いや、ふたつの種族しかいない、まともな人間とまともではない人間と、
わたしたちは、おそらくこれまでのどの時代の人間も知らなかった「人間」を知った。では、この人間とはなにものか。人間とはなにかをつねに決定する存在だ。ガス室を発明した存在だ。しかし同時に、ガス室に入っても毅然とした祈りのことばを口にする存在でもあるのだ〉 本文より
一見どうにもならない極限状態でも、「わたし」を見失わず、最後まで人間らしくありたい。心の在り方を常に問い正し、どんな状況下でも精神の自由まで奪われてしまわぬよう心を鍛え続けなければと思わされた。
人間の偉大と悲惨を描いたこの本に出逢えた運に感謝します。
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