｢アルファキュービック｣は、東京で百貨店勤めをしていた時(売場ではありません)、よく扱ってました。 当時は｢ジュンコシマダ｣｢49AV ジュンコシマダ｣｢A.T｣等がメインでした。 柴田良三さんに関しては、昨年のGQにて甘糟りり子さんがインタビュアーをつとめた記事を読んで、改めてカッコいい人だなぁ、と思ったのでした。 柴田さんは、1966年に石津謙介さんの｢ヴァンヂャケット｣に入り、2年目に"キャンティ"を手掛けた川添さんの手を借りながら、石津さんに｢イヴ・サンローラン｣の日本での展開を進言し、1970年にレディースの｢イヴ・サンローラン リヴ･ゴーシュ｣を日本で初めて青山通りにオープンさせました。 その後｢ヴァンヂャケット｣を円満退社し、1971年に｢アルファキュービック｣を設立したのでした。 ｢renoma｣を仕掛けたのも柴田さんでした。 当時のパリを一番匂わせた二人、セルジュ･ゲンズブールとジェーン･バーキンを被写体に、デイビッド･ベイリーやヘルムート･ニュートン等の凄腕カメラマンを起用したイメージ広告だけを打つ事3年(撮影にはキャンティの川添さんが手掛けたオープンしたばかりの｢マキシム･ド･パリ｣がよく使われたそうです)、｢よく見るけど、renomaって何？｣と世間がざわつき始めたタイミングで、満を持して商品を展開し爆発的にヒットさせました。 1997年に柴田さんの｢アルファキュービック｣は無くなりました。 ｢ブランド名は残っているが、私が込めた思いは、そこには残っていない｣ 1960年代、柴田さんのまわりには"カッコいい"人達が沢山いました。 当時のスターは、式場宗吉、生沢徹、浮谷東次郎…、僕も大好きな日本のレース黎明期を駆け抜けたレーシングドライバー達でした。 その中でも柴田さんが"スーパーマン"と称する福澤幸雄さんが別格にカッコよかったのです。 トヨタのワークスドライバーで、福沢諭吉を祖父に持ち、ギリシャ人とのハーフで甘いマスク、英語もフランス語も堪能、ファッションモデルをしながら当時の三大ブランドの一つ｢エドワーズ｣のデザイナーという横顔も持つ、今考えてもとんでもないスターだったのです。 そんな彼らの遊びは(もちろんキャンティにも集いましたが)、東京ボーリングセンターでプレイした後、車を飛ばして上原謙さん、加山雄三さん親子がオーナーの｢茅ヶ崎パシフィックホテル｣へ向かいライヴを楽しむのが定番だったそうです。 ※女優の小川知子さんの恋人でもあった福澤幸雄さんは、ある日、柴田さんや内田裕也さん等と朝まで夜通しポーカーを楽しんだ後、レーシングカーでテストコースへ出てクラッシュ…、翌日帰らぬ人となりました。享年25歳。 僕は1960年代に強烈な憧れがあるのですが、自分がカッコいいと感じる方は、10代後半から20代で1960年代を過ごした人達が多いのです。 柴田さんも、20代で極端をやり続け｢伝説｣を作り上げた｢カッコいい男｣の一人でした。 あちらで、福澤幸雄さんと何十年振りかでポーカーを楽しんでいるのでしょうか？ ご冥福をお祈りします。