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モウリス@ニコ生NEX ZERO

『村重杏奈Regeneration 〜抹茶と卵と夜風の仕業〜』 村重がついに『夜風の仕業』を歌った。 村重のソロはこれで2回目だ。『九州7県ツアー』大分夜公演で『First Love』を演っている。あろうことか、チケットが当たらず見逃している。握手会で「悲しげ〜」と言われた。本当に悲しかった。村重が一発逆転するチャンスは、少なくとも2つある。センターとソロだ。そのひとつを確認する機会を逃したわけだから、大失態とでも言うべき運のなさである。 しかし、村重に合う曲は限られる。村重は決してレンジは広くない。いや、なんでも村重流にこなしてしまうという意味では狭くはないが、ぼくが言いたいのはその村重ではない。自ら「あり得ないほどかわいい」と本気ともギャグともつかないフレーズを放つ村重の、「あり得ないほどかわいい」村重のことである。 『Glory days』は、曲世界も衣装も、当時の村重のマテリアル感にぴったり合っていた。合いすぎていて、むしろ48としては不利とも思えるほどに完結していた。 『天国野郎』の作業員コスプレがまたどハマりだった。ちょっと大きめなヘルメットが可笑しみを生んで良かったが、本人はぶかぶかで踊りにくかったらしく、握手会ではその固定方法について夢中で説明してくれた。 『嵐の夜には』ではシリアスな表情に挑んだ。童顔のくせに、ムーディな世界観に違和感なくはまった。それは後に、フリーペーパー「10MATCH」の表紙へとレベルアップしていく。 一方で、村重にはどうしても回避できないウィークポイントがある。制服である。日本人女性の容姿に最適化するように異常進化した「制服」は、ハーフの村重にはあまりフィットしない。しかしそもそもAKBの衣装は制服を基調とし、『博多レジェンド』などはその典型だった。48的意匠の中で、村重の魅力は抑制されてしまっていた。 その点、『夜風の仕業』は村重への期待感を満たす要素に満ちている。ソロであること。生歌であること。少女らしい衣装。メルヘンな世界観。一般に知られるイメージとは真逆だが、本来は彼女のド直球なベクトルである。 慣れないソロに、激しく緊張しているのがありありとわかった。サビの歌詞も間違えた。でも、村重のポテンシャルを確認するには十分なステージだったと思う。『夜風』の村重を褒めることは、富士山を美しいと言うくらい躊躇することかもしれないが、良いものは良いとハッキリ言うべきだ。それくらいの底力を見せてくれた。 底力と言えば、『指原莉乃座長公演』の村重も、もっと評価されていいはずだ。あの芝居の中に村重がいること自体が、どれだけ作品世界の醸成に寄与していることか。あの物語が滑稽な絵空事であることを、HKTメンバーの中では、村重がもっとも保証しているように見えた。そうした指摘がまったく聞かれないのは、むしろハマりすぎていて、特別なものには映りにくいからかもしれない。でも村重は、決して弁当の中の漬け物ではなく、卵焼きなのだ。箸休めなんかではない。 そう、村重は卵料理のようなのだ。洋食にも和食にもなる。そして、オムライスというメインディシュにもなり得る。ただ、調理法が少し難しいだけだ。たかが卵と思うと、すぐに崩れたり焦げたりしてしまう。でも、ふわとろな村重は、もうそこまで来ていると思う。難波仕込みのダンスも絶好調だ。 村重が無類の和食好きであることは有名だ。抹茶、スルメ、大根おろし。高級なものは好まない。中華料理店の餃子より、1個50円の餃子が好き。おじいさんの作る野菜はもっと好きなようで、それを話すときの楽しげな語り口は、なんともかわいい。そして最後にこれだけは念を押しておきたいが、頭脳の回転がめちゃくちゃ速い。ぼくが握手会で投げるパフォーマンスや芝居に関する抽象的な批評を、彼女は瞬時に的確に理解する。ぼくが全部を言い切らないうちに「うん、わかってるよ!」「あ〜それは嬉しいね〜!」と被せてくる。その回転の速さをMCなどでもっと自在にコントロール出来るようになったら、グイグイ明太子時代とは違ったバラエティーメン村重として再生するだろう。そしてその兆候は、すでに出始めている。 でも、とりあえずいまはじゃんけんを頑張れ。 (了)

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