ログイン
詳細
山川幹男

敢えて塩の撒かれる確率が高いメンの接触イベントに行って案の定塩を撒かれるクリーチャーヲタ…わかっていたんだ。 最初から、彼女の笑顔が俺のものじゃないことくらい。 それでも、塩撒かれに行ってしまったんだ。 まるで戦場に赴く兵士のように、 ──目の前に立った瞬間、時間が止まった。 視線は合わない。言葉も届かない。 ただ、彼女の無言がすべてを語っていた。 「来るな」って。 「あなたの場所は、ここじゃない」って。 ……それでも、俺は行ったんだ。 拒絶の冷気に晒されるために。 彼女がどんな反応をするか、確かめたかった。 自分がどれほど惨めなのか、思い知りたかった。 そして今、胸の奥で何かが静かに崩れていく。 ──それが希望なのか、幻想なのか、もうわからない。 でも一つだけ言える。 それでも俺は、彼女を嫌いになれない。 塩の痛みすら、まだ「会えた証」だと思ってしまうんだ。 ……俺は、いつからこんなにも滑稽な生き方しかできなくなったんだろうな。

前へ次へ
山川幹男のトーク
トーク情報