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ロングコートダディ堂前

1月30日(水) 家のこたつの様子がおかしい。 温度が上がりすぎる。 こたつに入っていられないほど熱くなる。 試しに生エビをいれてみたら 5分ほどで真っ赤になった。 業者に電話して話を聞いてみる。 福本さんという方が担当してくれた。 「すいません。2013年製のものにだけそういう不具合が発生してるようなんです。原因もよく分からなくて…」 僕は 「どうしたらいいですかね?」と聞く。 「こたつの方を最弱にしてもらってからバレルを1つ外してください」 「バレルってなんですか?」 「バレルです。コードの端についています」 「端?どっちの端ですか?」 「右の方です」 「右?」 「はい?」 「え、右ってどっちですかね?」 「え、えーと(笑)」 「いや、あの右左は分かるんですけど、コードの右がちょっと分からなくて、コンセント側ですか?」 「コンセント側?!(大声)」 「はい?」 「コンセント側とかじゃないです(笑)」 「あ?」 「あ?」 「なんですか?」 「とりあえずバレル外しましょう」 「バレルが分からんって言ってるんですよ」 「バ」 「え?」 「レ」 「はい?」 「ル です」 「あ?」 「あ?」 「ちょっと違う人に代わってもらっていいですか?」 「ありがたいです」 「はあ?なんじゃおまえ」 「すいませんお電話代わりました。鈴原が承ります。」 「あの、すいません。こたつの直し方が分からなくて」 「こたつの……直し方ですか?」 「え、ああ、はい。温度が上がりすぎてて」 「温度が……あがりすぎてる?」 「いや、その2013年製の不具合みたいなやつで、直し方を聞いてたんですけど」 「不具………………………合?」 「なんなんですか?」 「え?」 「いや今福本さんという方と電話してて、よく分からなくて」 「え、福本、ですか?」 「はい」 「福本は、2013年に亡くなっております…」 「…え?いやさっき電話してましたよ?」 「あれは則本です」 「はい?」 「則本ですね」 「のりもと?どういうことですか?」 「則本は…福本っ子でして…いつも福本のそばにいて、福本の真似ばかりしていました」 「はあ…」 「2013年に起きた我が社のこたつ大爆発事件で、福本と則本がこの世を去ってしまった今も、こうしてお客様の電話にでてしまうことがあるのです」 「え、則本も死んでるんですか?」 「はい、福本のそばにいましたので」 「えっとじゃあ、則本の霊が福本の真似しながら電話に出たっていうことですかね?」 「そんな感じですね」 「…怖いですね」 「申し訳ございません。そのこたつの不具合も、則福の呪いのようなものでして…」 「則福?あ、ああ」 「バレルに塩かけたら直ります」 「バレル!でた!バレルってどこですかね?」 「バレルです。コードの端についています」 「端?どっちの端ですか?」 「右の方です」 「右?」 「はい?」 「え、右ってどっちですかね?」 「え、えーと(笑)」 「いや、あの右左は分かるんですけど、コードの右がちょっと分からなくて、コンセント側ですか?」 「コンセント側?!(大声)」 ここで電話を切ってこたつを捨てました。

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