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ロングコートダディ堂前

1月10日(金) プッチモニというアイドルグループの新メンバー追加オーディションにいってきた。 最終選考にまで残ったのは 僕 僕と同い年くらいの男の大沢くん 大沢くんのお兄さん だった。 審査員の人が扉を開けて入ってくるなり 喋りだした。 「えー、正直女の子が一人も残らなかったことが残念でなりません。ここにいる三人が相当な強者ということでしょう。 この中で新メンバーとして追加されるのは 一人のみです。 みなさん頑張ってください。」 浪速区民センターの会議室2が 緊張感に包まれる。 最終オーディションの審査内容は演技。 あらかじめ貰った台本通り、芝居をする。 ただ、台詞は全員違っていて 最終選考で残った三人でひとつのシーンを演じる。 演じる内容は謎の密室に閉じ込められた三人の会話劇。 「では、15分後に別室でオーディションを開始します。」と、審査員は部屋を出て扉を閉めた。 ガチャン 静寂に包まれる会議室2。 すると突然大沢くんのお兄さんが 「一体こんなところに閉じ込めてどうするつもりだよ!」と大きな声を出した。 大沢くんのお兄さんのこの台詞は 台本の台詞。 うわ、いきなり練習しだしたと思ったが 違う。 まさか…そういうことか。 扉が閉まった瞬間、審査が始まったということか。 この状況、まさに台本のそれ。 焦りだす僕。 焦りすぎて、次の僕の台詞である 「まあまあ落ち着いてくださいよ。叫んだところで意味はなさそうですよ。」 という言葉を 「マーケティングダイバー。鮭フレークで意味はなさそうですよ。」 と言ってしまった。 大沢くんも焦っていたのか、その後の 大沢くんの台詞である 「僕たちはなぜここに閉じ込められたんだろう…」 という言葉を 「空中タッチ」 と言ってしまった。 その後は僕も大沢くんも大沢くんのお兄さんも パニックになってしまった。 とりあえずみんな大きい声は出さないといけないということしか頭になかった。 するとガチャっと扉が開き、審査員が入ってきた。 「あの、他のとこで会議もしてるのでもう少し静かに練習してください。」 おどろいた。 審査は始まっていなかった。 始め出したのは大沢くんのお兄さん。 大沢くんのお兄さんの顔を見てみると 顔を真っ赤にしていた。 すると大沢くんのお兄さんは 「俺の負けだ。」と言い 荷物を持って会議室から出ていった。 大沢くんは 「ちょ、ちょっと待ってよ兄さん」といったような顔でこちらを見てきた。 いや、知らないよ。 僕には何もできない。 オーディションは結局二人で行われた。 審査結果は2021年の春とのこと。 絶対に覚えておきたい。

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