地獄の黙示録
フランシス・コッポラ監督の映画『地獄の黙示録』はベトナム戦争を生々しく描いた衝撃作として認知されているようですが、原作は『闇の奥』という小説で、哲学的内容が際立つ世界観が特徴です
ベトナム戦争を題材に取り入れたのは映像化にあたっての新たな観点によるものであって、当時のアメリカの社会情勢を思想に反映する表現と考えられます
しかし、さらに混沌とした複雑な内容が理解困難な映画というイメージを作り上げることになったのだと思いますね
肯定的に受けとめる側は、映画としての理解の困難さを、むしろかつてない哲学的表現の高みに押し上げたという特異な見解を示すに至りました
この分極化現象がいわば伝説化の起点となり、アメリカのみならず世界映画史に特筆されることになったのです
政治的配慮と映像による芸術の間に意味を見出だすのはそれほど大した行為ではないように思われます
たとえるなら1970年代にこじつけて意味を探るようなものでしょう
深淵に対する理解などと言っても、そもそも人間心理の深層は不可解なことばかりで、狂気と戦争を結びつけるのも現代では既に出尽くした感があり特に目新しい見解だとは思えません
つまり、個人的偏見にすぎない各方面に関する理解は、鑑賞を前提とするなら、アメリカの国家戦略についての見解に集約するのが目的だとしてもそのままクリエイターの思惑と一致するはずはなく、逆説的に言えばそれが観る者を惹き付ける原動力となっているのではないでしょうか
この映画の歴史的な意義とは、納得出来るということだけが意味があるわけではない、そう暗示しているように思えてなりません
個人的にはドアーズやストーンズの音楽が重要なシーンで多用されているのが喜ばしいですね
コッポラ監督のセンスを感じます
Apocalypse Now - Trailer
https://m.youtube.com/watch?v=snDR7XsSkB4
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