多田愛佳がディードリット役を演じた「ロードス島戦記 灰色の魔女」。多田愛佳史に残る重要作となった気がします。 ディードリットをうまく演じようとしていた最初の2日間か3日間も悪くなかったけど、上演期間中盤から、多田愛佳の魅力を全開にしたディードリットがとにかくチャーミングだった。 本人が不安がっていた殺陣。上演期間序盤も無難にこなしていたものの、中盤から終盤にかけては、階段を降りながら戦うむずかしい場面も実にきれいな演技を見せることができ、格段の進歩が感じられた。 そしてなんと言っても歌。歌手の歌でもなければ、ミュージカルの歌でもなく、役者の歌でもない。アイドルとして培ってきた技術を活かし、生来の美しい声の魅力を最大限に引き出す歌いかた。多田愛佳が今後も女優として戦いつづけるうえで、この歌の力は大きな武器になることはまちがいない。ソロの「フェアリーワールド」は本当にすばらしかった。 素敵な音楽を提供してくださった今安志保先生にも感謝します。 千秋楽のカーテンコールでの、一期一会の大切さを語るあいさつには、彼女の人間的な成長を感じられ、ファンとしては涙がとまらなかって。 それやこれやをみんな含めて、とても安心したし、これからがますます楽しみになる14公演でした。