#初めての母の日
初めて母の日の存在を知った炸裂少年。
母の日とは如何なるものかをより知りたくなり、引き続き女子達の話に聞き耳を立てました。
そして母の日にはカーネーションを贈るらしいと知りました。
「カーネーション?」人生で初めて聞く単語。話を更に聞いていくと、カーネーションとはどうやら花らしく、花屋さんで買うものらしい。
「花は無理だぁ」
当時はお小遣いをもらっても、翌日には近所の駄菓子屋で買い食いをしている炸裂少年には、とてもカーネーションを買うお金はありませんでした。
母の日にカーネーションを贈ることは諦めた炸裂少年。
しかし女子達の次の会話が炸裂少年に光を与えます。
「メッセージカードもつける?」、「私は手紙を書こうと思ってる」
「手紙?・・・それだ!」
それならお金が無い僕でも出来る!
ということで母の日前日の夜に手紙を書くことにしました。
しかし、いざ手紙を書くとなると気恥しく、長々とはとても書けそうにありません。
「そういやメッセージカードでもいいって言ってたから、手紙じゃなくてもいいかな?」
という事で、手紙から簡単な感謝のメッセージカードへとグレードダウン(笑)
後はどう渡すか?ですが、直接渡すのは手紙を書こうと思った時以上に気恥しく、とても素直に「お母さんいつもありがとう」と渡せそうにはありません。
そこで炸裂少年は如何にして直接渡さないで済むかを考えます。
そこで1つのアイデア浮かびます。
「宝探し風にしてはどうだろうか?」
まずは母親にA地点行くように指示した手紙を渡す。A地点に行くと次はB地点に行くように指示した手紙がある。
こんな感じで回り続けて行くと最後にメッセージカードに辿り着くという寸法です。
とは言っても、家の敷地内をぐるぐると回る程度のものです。
ちなみにこの元ネタは、当時大流行していたファミコンのゲームにこういう演出があったので、そのパクリです(笑)
全てのセットを完了した炸裂少年。
最後のメッセージカードは家の裏に置いたのですが、さすがにこのままでは味気無いかなぁと思って周りを見回すと、綺麗な草花が小さく咲き誇っていました。
「この花を一緒に手紙に添えよう。カーネーションじゃないけど、花は花だし、いいよね」
そして炸裂少年は最初の指示書を母親に渡しました。
母親は訝しげに思いつつも、またなんか変な遊び思い付いたんだろうなぁと指示書に従い動き始めました。
後はただただ待てば良かったのですが、母親がどういうリアクションをするかが気になる炸裂少年は、コソコソと母親の後ろをストーカーのようについてまわります(笑)
そしてメッセージカードに母親が辿り着きます。
メッセージカードと花を見た母親は、わっと泣きだしました。
初めて母親が泣く瞬間を見て、何か悪いものを見てしまった気分になりました。そして僕は悪いことをしてしまったのではないか?と思い、家の中に逃げ戻りました。
その後、落ち着いた母親が家の中に戻り、僕を見つけ、「ありがとう、とっても嬉しかったよ」と言いながら抱きしめてくれました。
僕は母親が喜んでくれたことよりも、
「悪いことをしたわけじゃなかったんだ」ということがわかり、ただただホッとした気分でした。
その後自分の部屋に戻った炸裂少年。
母の日ミッションが自分の想像以上に成功したことに対し戸惑いつつも、ガッツポーズを取っていたことを母親はまだ知らない(^ω^)
#初めての母の日