牡丹だ。
牡丹をあまりこの街で不意に見かける事は無かったのだが、ついこの間建った、なんとも昭和臭い家の住人が牡丹を育てているようだ。
牡丹の花は美しい。
最近、この近所で4軒、家が建った。
その内の3軒は美しく立派で、下手な突起物は何もない洗礼された外観のおしゃれな家なのだ。
しかしよくよく見ると、一階部分の窓は小さく、さらに柵で囲われていたり(その囲い方がまたお洒落)
そもそも窓がなかったり、
決して覗くことも登る事もできない、高い高い突起物のない塀で囲われていたりと、見事な防犯力の要塞のような家だった。
だけど牡丹を植えているこの家といったら。
なんともこじんまりした
悪い意味で昭和感のただよう、緑色の瓦をつけた家だ。でも建ったばかりなので、新品の昭和感、という、とても不思議な出立ちをしてる。
そして、植物がやたら育っている。
その中に1つ、大きく、今にも咲きそうな牡丹の蕾があった。
牡丹の花は美しい。
でも ボタンの鼻 は見にくい。
花のように美しかった(父親談)母親に、牡丹という名を
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