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トーク情報【公式】鈴木商店 鯖缶鯖缶 胆のうがんを患い「余命わずか」を宣告された母・伊鈴さんと在宅訪問医療を決意した夫、子供2人のご家族のノンフィクション。
死が迫る本人とそのご家族のそれぞれの心の葛藤と、また最後までお互いを思いやり気遣う優しさに、熱い涙が流れる一冊です。
栄養士だった伊鈴さんが死ぬ前に書き残したレシピがいつまでも家族の味として受け継がれ生きています。
作るたび食べるたび、残された家族は伊鈴さんの事を思い出し、そうして伊鈴さんの魂は永遠に生きるのです。
私も同じ母として、子供達にレシピは絶対残してあげたいと思いました。
この本は死に向かうけれど決して悲壮感はなく、むしろ明るく直向きで温かいです。
だけど私は…あまりにも完璧な家族愛に…実は時々顔が歪みました。
私にはかつて愛媛に独り暮らす父がいました。末期がんで余命が僅かとなり、私は東京から行ったり来たりがいよいよ厳しくなった時、迷いましたが東京での在宅医療を決意しました。
ところが万全の準備が整ったのに、東京へ来る2日前に容態が急変し、あっさり逝ってしまいました。
私も父を看取ってあげたかった。美味しいご飯を毎日食べさせて車椅子で散歩に連れて行ってあげたかった。どんなに汚い事でも辛い事でも受け止めてあげたかった。
だからこの本の家族が羨ましくて悲しくなりました。
でも今は私のそばに、父と一緒に連れてくるつもりだったはずの猫がいます。愛媛から連れてきました。
猫は父の死後、あっさり私に鞍替えし、今日ものんびり日向ぼっこしています。
父も天国から半分呆れて安心して見てくれてるでしょう。
いつか必ず誰にでも訪れる死、悔いのない最期を迎えられるよう出来ることは多くあるとこの本から知りました。
「死ぬことは、最期を生きること。」
帯にあったこの言葉が、私の胸に深い余韻を残してます。
「最後のレシピ」読書感想文