板井吹蔵のトーク
トーク情報- すいぞう
すいぞう おはようございます。
昨日のライブ。レポート!
トランペットと和楽器のアンサンブルなんて、他では聞けないと思う。
そもそもトランペットと和楽器が合うのか?料理で言えば和と洋の食材の組み合わせは今でこそよく見られると思うのだが、最初は大体否定される事が多い。今では当たり前になっていると思うのだが、それもシェフや料理人の努力や工夫、高度な技術があってこそ。トランペットと和楽器のアンサンブルも一見相性が悪そうに思えるが、食材の良さ=メンバーの音色の良さ、高度な技術、シェフ=アレンジャーの努力と工夫によって絶妙なバランスでアンサンブルが成立している。
そして自分たちのサウンドに一番合うジャンルを2年間模索し続けて、たどり着いたのがイージーリスニング。ポールモーリアをこの編成で演奏すると意外なほどしっくりくる。
だが、それだけで2時間のライブとなるとどうしても飽きがくる。何しろ「イージーリスニング」=簡単に聞ける、良くも悪くもBGM的音楽なのだ。リラックスして聞けるという意味では感情の起伏は少ないジャンルだ。そこでメンバーそれぞれの持つ演奏以外のポテンシャルが活かされる。弾き語り琵琶、歌、殺陣、舞踊。
これだけやると、コンセプトがぼやけそうになりそうだが、そこは「トランペットと和楽器の音の融合」という芯があるので、絶対にそこに戻ってくるという安心感の様なものがある。
更に考え抜かれた演出によってステージが高められ、作り出された渦に観客が巻き込まれていく。自然と舞台に集中してしまったり、緊張感が会場中に張り詰めたかと思うと一気に笑いに包まれたり。メンバーが観客を飽きさせない様に、そして楽しませようとする気持ちが存分に込められたプログラムと演出に、自然と身を委ねる様になってしまうのだ。そこにはイージーリスニングだけでは起こり得ない大きな感情の揺さぶりがある。終演後は、まるで豪華なコース料理を食べ終わった後の様な満足感があり、しばらく席を立つ事ができなかった。
今回は会場や主催者の関係から年配の客がほとんどだった。それに合わせたプログラムや演出でこれだけ楽しませるライブができるポテンシャルに、今後の大きな可能性を見た。例えば小中学校での演奏会なら、アニメソングやディズニー、J-POPを入れつつ、童謡や唱歌などの日本音楽の真髄を伝える事ができるだろう。学園祭のステージではジャズやロックにアレンジした民謡を披露しても面白い。敢えてしっとりと和を強調した世界観を若者に聞かせるといったチャレンジもしてほしい。
根底には和楽器の持つ音色が、日本人の魂の奥底に訴える何かがあるのだと思う。絶滅危惧種になりつつある和楽器の伝統を絶やすことのない様に、という強い思いも込められて結成されたこのユニットの活動はようやくスタートラインに立ったばかり。線香花火の様な小さな灯火が、やがて大きな打ち上げ花火の様に輝き、日本人の心の故郷の様な存在になれたら、と思える様なエンターテイメントだった。
今日もいい日になりますように😌