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Kazuki Funahashiのトーク
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  • Kazuki Funahashi
    Kazuki Funahashi

    この話、すごく刺さった。

    確かに、
    自分も大事に思っている人に対しては、
    「時間がない」なんて言わないな。

    恋愛でも、
    「忙しいから無理」という断り方は
    実質拒否ですよね笑

  • Kazuki Funahashi
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    「正義とは何か」

    正義について考える材料として、「エニグマ」のエピソ-ドがある。情報戦において、歴史上最も有名な暗号機、ドイツの「エニグマ」に関するものだ。「エニグマ」の解法は「3・3掛ける10の114乗」と言われていて、破るのはほぼ不可能とされていた。解読したのは、英国政府暗号学校で働いていた数学者アラン・チューリングなど、専門家たちだった。彼らを描いた映画『イミテ-シヨン・ゲ-ム/エニグマと天才数学者の秘密』はとてもよくできている。解説にいたる過程もドラマチックだし、チューリング自身も非常に興味を惹かれる人物だ。初めて解読に成功したときの暗号指令は、ナチスドイツのUボ-トがある輸送船団を攻繋するというものだった。解読チ-ムの一人の兄が、その輸送船団に乗り組んでいて、さっそく知らせなければと訴えるが、チューリングはそれを拒否した。「エニグマ」の暗号が破られたと敵が知ると、内部設定を変えてしまう。結局、輸送船団には知らされず、多くの船員が命を落とす。だが、そのあと「エニグマ」の解読技術はさらに進み、結果的に戦争終結を早め、膨大な人命を救った。
    「エニグマ」は、犠牲者の数と、家族の問題を示している。家族を犠牲にしてもより多くの命を救うほうが正義ではないかという問いが生まれる。10歳の子どもに「ぼくがその船に乗っていて、攻態を受けて死んでもいいの?」と聞かれたらどう答えればいいのだろうか。むずかしいが、政治とか国家というのはそういうものだと、子どもにもわかるように話すしかない。政治・国家・組織は、より多数の人々の利益を考える仕組みを、法や倫理を通して確立している。
    これを書いている今、中国武漢で発生した新型コロナウイルスが脅威となっている。感染症法上の指定感染症等に指定する政令が施行された。発症者は入院を勧告され、従わない場合は強制入院となる。治療とともに、他の多数の人に感染しないようにという措置である。
    だが、たとえば過去のハンセン病への対応などを考えると、そのような措置が、すべての場合に正しいとは限らない。
    多数派の利益を優先する装置を組み入れた政治システムにおいて、少数者に対しどれだげ公平性を配慮できているか、それが国家の先進性の基準となる。

    村上龍

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