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企業家倶楽部 2017年12月号 No.132 極端をやりきれる男 幻冬舎 代表取締役社長 見城 徹 「“兄貴”と呼ばせてください」  12年前、初対面の場で突然熊谷が切り出した。見城が熊谷の懸案事項をその場で解決した際のことだ。以後、安倍総理の前でも「兄貴」と呼ぶ。もっとも、最初は誤解からスタート。アポイントの日程調整における行き違いが原因である、見城の熊谷に対する印象は良くなかった。しかし、すぐに「思っていたような奴じゃない、ものすごく仁義に厚い男だ」と考えを改めた。今では次に5〜6回は会う仲。親分肌の見城は「オヤジ」「親分」などと呼ばれ、企業家たちから慕われているが、「兄貴」の呼び名は熊谷の専売特許である。  12月29日は見城の誕生日だが、その誕生会の全てを仕切るのが熊谷だ。当日は40〜50人の企業家がハワイに集結。今ではこの誕生会で熊谷が打ち上げる花火はワイキキの名物になっているほどである。パーティー嫌いの見城は、何度も止めてくれと頼んだが、最近は諦め気味。「気恥ずかしいけど、それも彼の誠意だからね」と笑顔を見せる。  何から何まで一流にこだわる熊谷の趣向を凝らしたハワイでの仕掛けには、毎年驚かされるばかりだ。昨年は幻の名牛を一頭丸ごと京都で買い付け、3ツ星シェフのレシピでしゃぶしゃぶにしてくれたり、ブルゴーニュの白ワインの神様コシュ・デリにプライベート・ジェットで会いに行き、彼の最高傑作、世界に三本しかない「コルトン・シャルルマーニュ1989年」を手に入れて見城のためにふるまった。「彼は労力もお金も極端に使う。一番の魅力はやりきること。曖昧さが無い。決めたことに逡巡しない。そして情に厚く、お金にきれい」と語る見城は、熊谷を「美学の塊」と評する。「いつも全身の神経を研ぎ澄ませているのが分かるので、彼がしてくれる事は心に沁みる」  心に決めた相手には徹底的に尽くす熊谷。もちろん見城も、「できる限りのことはやっている」と言う。  「約10年前のピンチを乗り越えてからは、順調すぎるくらい順調。先見の明があるし、GMOはドメインや決済などインフラを早くから押さえているから確実に利益が出る。その上でリスクのある新しい事業にも果敢に挑戦する。熊谷自身が数字に強いのも大きい」  ソニーの盛田昭夫と井深大、ホンダの本田宗一郎と藤沢武夫のように、「大きく伸びる企業にはロマンチストとサイエンティストが必要」と語る見城。そして、その二面性を併せ持っているのが熊谷だと言う。  「彼はグループ100数社の月次決算を見て、何が起きているか全て理解できるくらいのサイエンティスト。それでいて、人生の晩年にはワイナリーを始めるのではないかと思うほどワインを愛するロマンチストでもある」  今はワイン作りに励む、『ゴッドファーザー』のフランシス・コッポラが「ワイン作りは映画よりも遥かに人生を映し出す」と食事の際に見城に言ったが、最後に使うお金の対象として、一番の選択肢に入るのはワイン作りという成功者は多い。  もちろん熊谷にも、高校を中退したが、父親の事業を継げなかったなど、苦しい時期があった。ただ、「そうした経験が全て今に生きている」と見城。  「あの風貌からは全く伺えないが、熊谷は悪戦苦闘、孤独な戦いを続けてきた。ビジネスの成功の秘訣は極端な行動を取れるかどうか。皆と同じことをしていたら、鮮やかな成功など無い。彼には極端をやりきる意志と行動力、恐怖やリスクと戦う男の凛々しさがある」  そう語る見城に熊谷へのメッセージを問うと、「熊谷とは死が二人を分かつまで・・・・・・。彼とはそれくらいの関係。同年同月同日に死ねたら最高だね。熊谷には悪いけど(笑)」。 _φ(。・_・。 )

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