思春期の男子は乳首が痛くなる。 中学から高校にかけて大多数のオスのティーンがこの悩みを持っていたのではないだろうか。 かくいうあたしは「最高峰の乳首（ニップオブザ・ワールド）」の能力を開花させていたので、痛みに悩む同級たちを尻目に安らかな乳首ライフを送っていた。 そして時は進み現在。 ここ3日間。 乳首が痛い。 正直ひどいときは痛すぎてもぎたい。 もぎたて乳首の生絞りサワーを飲みたい人とばったり出会ったなら喜んであたしの乳首を捧げたくなるという気の迷いが生ずる。 痛みがおさまると冷静さを取り戻し、大切な家族を平気で手放そうとした自分自身に辟易する。圧倒的自己嫌悪ただ。 もうすぐ30歳を控えたウルトラ三十路んちゅのあたしが、なぜ今更このような痛みに苛まれているのであろうか。 記憶にはないのだが、おそらく15歳の頃のあたしは一度乳首が痛くなったのではないだろうか。 その時魔女がやってきて「お主の乳首の痛みを抑えてやろう。その代わり15年後今の倍になって痛みが襲ってくるがな。」 と交渉を仕掛けらたのではないだろうか。 あたしは目先の華の乳首ライフにかまけて呪いを受け今に至るのではないだろうか。 あたしはあの時の乳首マレフィセントがやってくるのではないかと恐怖におののいている。（続）