「心の距離は、言い合ってこそ近づく。」
先輩の31年間の退任祝い。
節目の夜は、感謝と尊敬に満ちた、とても温かい時間だった。
だけど、そのあと――
仲間のはんちゃんと、ちょっとした言い合いになった。
きっかけは、お金のこと。
でも本当は、それだけじゃなかった。
俺は、気を遣っていたつもりだった。
「はんちゃんに負担をかけたくない」
そう思って、自分なりの判断をした。
でもそれは、結果的に――
“対等な仲間”として見ていなかったのかもしれない。
はんちゃんははんちゃんで、
「自分にも矜持がある」
「相談もなく決められ、そのうえ感謝が足りないと言われたことが悔しかった」
と、まっすぐに気持ちをぶつけてくれた。
そして彼はこう締めてくれた。
「でも、いろんな配慮があってのことだと理解したから、もう大丈夫」
「これからも戦友としてよろしくな」って。
真っ直ぐにぶつかって、
真っ直ぐに受け止め合った時間だった。
あの先輩の退任祝いの夜に、
俺たちの関係も、ひとつ深まった気がした。
金じゃない。建前でもない。
魂でつながれる関係こそが、人生の財産だと思う。
また、みんなで笑おう。
かっこいい50代を迎えよう。
あの日の先輩の背中みたいに。
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