fieldofkfieldofk2018年06月17日 09:07糸をたどると いつも君がいる 僕がどうしようもなくなって 細い糸をたぐり寄せると 僕の前に佇んでいる 他の人が慌てて 糸を食いちぎる時も 君は寡黙に 糸が切れてしまわないように 僕がたぐり寄せる スピードに合わせて 近づいてくる 僕が どんなに遠くで 無茶をしていようと 君は糸を紡いでいる
fieldofkfieldofk6年前書き溜めた手紙を出さずじまいの夜に桜が降っているなんていつまでたっても売れないシナリオライターが描きそうな夜だブルーの光に包まれてもLEDだとは限らない光の予感は妄想に過ぎないと暗くなってからわかる感嘆だ
fieldofkfieldofk6年前糸をたどるといつも君がいる僕がどうしようもなくなって細い糸をたぐり寄せると僕の前に佇んでいる他の人が慌てて糸を食いちぎる時も君は寡黙に糸が切れてしまわないように僕がたぐり寄せるスピードに合わせて近づいてくる僕がどんなに遠くで無茶をしていようと君は糸を紡いでいる
fieldofkfieldofk6年前形のあるものは美しかったり醜かったり時々形を変えたがるその存在は現実世界では確かなもの形のないものは初めは謙虚だが次第に形を作りたがる例えば不文律僕は形にしたいものを君に告げた君はそれは形にできないと言った
fieldofkfieldofk6年前真夜中に二階の部屋から屋根づたいに抜け出して君の通学路にある工場の塀に赤いスプレーで君の名を書いた次の日それを見つけた君はkがやったの?と僕を問いただしたが僕は違うとあからさまに否定したもう別々の人生を歩み出したけれどいつの日かあれは僕だったと君に打ち明けたい
fieldofkfieldofk6年前人は溜息をつく 辞書で調べたら「溜息」とは「気苦労や失望などから、また、感動したときや緊張がとけたときに、思わず出る大きな吐息」とある 僕と関わる女性は皆、前者の溜息をつく
fieldofkfieldofk6年前今の私は生きていない流されているだけ人混みが放つ矢印に流されている地下へ下る階段に吸い込まれ改札口があればカードをかざすつり革を持つ手に力が入らない窓ガラスに歪んだ顔が映るその向こう側で走り去る無根の時間このままでいいはずがない次の駅で引き返そう
fieldofkfieldofk6年前人見知りの二人はつきあうまでに一年かかった恥ずかしがり屋の二人はどちらかが酔った時しか手をつながない気まぐれな二人は宿も決めずに旅に出た最後は笑いながら思い思いの道を選んだ脈絡はもうないその場面だけが複眼的にフラッシュする
fieldofkfieldofk6年前電話したけどつながらない君は携帯番号を変えていたそれは僕とのことがあったから?そこまで嫌われていたのかと雑踏にまみれて舌打ちをするそれとも何か他の理由?ウィンドウ越しの問いに答える者はいない僕はただ君に借りていたCDを返したかっただけなんだ