ログイン
詳細
fieldofk

人見知りの二人は つきあうまでに 一年かかった 恥ずかしがり屋の二人は どちらかが酔った時しか 手をつながない 気まぐれな二人は 宿も決めずに旅に出た 最後は笑いながら 思い思いの道を選んだ 脈絡はもうない その場面だけが 複眼的にフラッシュする

前へ次へ
Kyohei Koikeのトーク
トーク情報
  • fieldofk
    fieldofk

    うふふ
    薄ら笑いを浮かべる
    つかみどころがない
    柄のない扉のように
    柄のない傘のように
    柄のないカップのように

    うふふ
    薄ら笑いを浮かべる
    柄のない君の
    触れ方が
    わからない

  • fieldofk
    fieldofk

    書き溜めた手紙を
    出さずじまいの夜に
    桜が降っているなんて
    いつまでたっても
    売れないシナリオライターが
    描きそうな夜だ
    ブルーの光に包まれても
    LEDだとは限らない
    光の予感は妄想に過ぎないと
    暗くなってからわかる感嘆だ

  • fieldofk
    fieldofk

    糸をたどると
    いつも君がいる
    僕がどうしようもなくなって
    細い糸をたぐり寄せると
    僕の前に佇んでいる
    他の人が慌てて
    糸を食いちぎる時も
    君は寡黙に
    糸が切れてしまわないように
    僕がたぐり寄せる
    スピードに合わせて
    近づいてくる
    僕が
    どんなに遠くで
    無茶をしていようと
    君は糸を紡いでいる

  • fieldofk
    fieldofk

    形のあるものは
    美しかったり
    醜かったり
    時々
    形を変えたがる
    その存在は
    現実世界では
    確かなもの
    形のないものは
    初めは謙虚だが
    次第に形を作りたがる
    例えば不文律
    僕は
    形にしたいものを
    君に告げた
    君は
    それは形にできないと
    言った

  • fieldofk
    fieldofk

    真夜中に
    二階の部屋から
    屋根づたいに抜け出して
    君の通学路にある
    工場の塀に
    赤いスプレーで
    君の名を書いた
    次の日
    それを見つけた君は
    kがやったの?
    と僕を問いただしたが
    僕は違うと
    あからさまに否定した

    もう別々の人生を
    歩み出したけれど
    いつの日か
    あれは僕だったと
    君に打ち明けたい

  • fieldofk
    fieldofk

    これが最後の食事ね 
    冷めないうちがいいね
    あきらめを飲み込んだら
    次の言葉を探している

  • fieldofk
    fieldofk

    人は溜息をつく
    辞書で調べたら
    「溜息」とは
    「気苦労や失望などから、また、感動したときや緊張がとけたときに、思わず出る大きな吐息」とある
    僕と関わる女性は皆、前者の溜息をつく

  • fieldofk
    fieldofk

    今の私は生きていない
    流されているだけ
    人混みが放つ矢印に流されている
    地下へ下る階段に吸い込まれ
    改札口があればカードをかざす
    つり革を持つ手に力が入らない
    窓ガラスに歪んだ顔が映る
    その向こう側で走り去る無根の時間
    このままでいいはずがない
    次の駅で引き返そう

  • fieldofk
    fieldofk

    人見知りの二人は
    つきあうまでに
    一年かかった
    恥ずかしがり屋の二人は
    どちらかが酔った時しか
    手をつながない
    気まぐれな二人は
    宿も決めずに旅に出た

    最後は笑いながら
    思い思いの道を選んだ
    脈絡はもうない
    その場面だけが
    複眼的にフラッシュする

  • fieldofk
    fieldofk

    電話したけど
    つながらない
    君は携帯番号を変えていた
    それは僕とのことがあったから?
    そこまで嫌われていたのかと
    雑踏にまみれて舌打ちをする
    それとも何か他の理由?
    ウィンドウ越しの問いに
    答える者はいない
    僕はただ
    君に借りていたCDを
    返したかっただけなんだ