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前略 見城先生
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  • 吉田真悟
    吉田真悟

    唐突ですが幻冬舎の本に救われているということを申し上げたいのです。この頃読書量が激減しておりますが。

  • 吉田真悟
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    No.567
    『まぐだら屋のマリア』
     原田マハ著
    (2011/07/25 幻冬舎)

    2021/11/15(11/13読了)
    マグダラのマリアといえば、カラヴァッジョの死を思わせる恍惚のマリアを思い出すのだが、マグロとタラが合体した伝説の怪魚「まぐだら」からきているとさ。(爆笑)
    絵としては「聖母子」が後半に出てくるが、どうしても絵画を愛でる視線で読んでしまう。
    とにかくビジュアル的なのだ。

    これは原田さんの10年前の本で、昨今のセンスの良いアート小説、アートサスペンスとは少し毛色が違っていた。

    山陰地方の地塩村の尽果(つきはて)という落人でも匿ってくれそうな定食屋の女、有馬りあ(マリア)と神楽坂の料亭で板前修業中だったが死ぬ目的でその地を訪れた及川紫紋の話。マリアの薬指が無い訳が分かる時、心に痛みと衝撃を受ける。
    マリア、シモン、マルコ、ヨハネ、ナザレ寺とキリスト教に関わる名称が沢山登場する。皆、罪人なんだと納得してしまう。それでも何も聞かず匿ってくれる暖かい土地柄がドロドロの人間関係や過去を浄化してくれるファンタジーな終わり方で大変読み応えがあった。淡々と巡る季節に沿った1年程の話には美味しい料理が沢山出てきて、生きるという根源的エネルギーに溢れていたが、隣り合わせに死を運命を受け入れるしかないと割り切ってしまう。「神らしき存在から赦しを得られたか?」分からないがそう思える時に死のうと思う。

    【登場人物】
    及川紫紋(25歳、神楽坂「吟遊」の見習い)
    浅川悠太(19歳、紫紋の職場の後輩)
    早乙女晴香(吟遊の中居)
    宮本静子(宮前の家政婦)

    有馬りあ(まぐだら屋のマリア、薬指が無い)
    住吉克夫(まくだら屋にサカナを卸す漁師)
    丸弧(行き倒れの紫紋の同居人)
    与羽(高校教師、薬指が無い)

  • 吉田真悟
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    No.672
    『調理場という戦場』
     斉須政雄著
    (2006/04/15 幻冬舎文庫)

    2023/03/18(3/17読了)
    斉須政雄さんのことを綺麗事だけ言う理想主義者だと勘違いしていた。
    なぜこんなひどい思い違いをしたのだろう。大変失礼しました。真逆の人です。そのために、随分と後回しにしてしまったことが悔やまれる。

    しかし、この本を読みたいと思ったのは三國さんの『三流シェフ』を読んだからだ。同じフレンチの巨匠であり、同年代にフランスで武者修行をして帰国し、それぞれのお店を有名にしている。二人の接点や共通点などを知ることが出来たら面白いだろうなぁと単純に思ったからなのだが、結論として、この順番に読んで正解だったと思う。

    後で知ることになるのだが、2019年に放送された木村拓哉さん主演のドラマ「グランメゾン東京」の中に登場したレストランに『ランブロアジー』があった。長年に渡りミシュラン三ツ星を獲得し続けている世界最高峰のレストランである。そのオーナーシェフのベルナール・パコー氏とともに店を立ち上げ、後の三ツ星店の基礎を築いたのが斉須政雄さんである。※現在は東京・三田にある『コート・ドール』のオーナーシェフである。ベルナール・パコー氏の生い立ちや人間性の素晴らしさにも興味が涌いてくるので、いずれたどってみよう。

    斉須さんも三國さんと同時期に、12年もフランスで修行していたので、何かしら接点がありそうだと感じたが、あとがきに少し書いてありました。
    三國さんの師匠の一人がアラン・シャペル氏であり、三國さんが苦労して彼の店で修行をした事は『三流シェフ』に書いてある。亡くなる2か月前には四ツ谷の『オテル・ドゥ・ミクニ』を訪れてゲストブックに賞賛のコメントを残している。斉須氏も、このシャペル氏の下で修行したくて手紙を書いたらしいが採用されなかった。
    後年、シャペル氏が『コート・ドール』を訪れた際に、この話をしたそうだが、シャペル氏は「私の店で修行しなかったからこそ、今こうして(自分の店を持ち成功して)二人は出会っているのです。よかったね。」と言ったそうである。それまで感じていたコンプレックスが消えたそうである。

    二人に多大な影響を及ぼした、アラン・シャペルという料理人に、しばし思いを馳せたくなった。『三流シェフ』をまた振り返ってみようと思う。

    さて、この本の中身であるが、料理に限らず生き方や人間関係、組織の活かし方、外国で舐められない様な注意まで書かれている。
    1店目の「カンカングローニュ」から6店目の「ランブロアジー」、そしてコート・ドールまで、それぞれの店の思い出が語られ、出世魚のごとく、次々に苦労を乗り越えて成長していくところは『三流シェフ』とおなじだと思った。

    置かれたところで出しゃばらず、利益を追いすぎず、かといって経営者としての冷静さも失っていない。毎日、皆で何回も掃除をする結果、ピカピカの厨房が象徴的である。一体、何を目指しているのだろう?私の理解を超えている。

    次に斉須政雄著『少数精鋭の組織論』(幻冬舎新書)が手に入ったので、これを読む。「メンバーはリーダーの奴隷ではない」と言い切っている彼の目指す組織はどんなんだろうか?

  • 吉田真悟
    吉田真悟
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    No.704
    『椿ノ恋文』小川糸著
    (2023/10/30 幻冬舎)

    2023/11/10(11/08読了)
    『ツバキ文具店』(2016年4月21日、幻冬舎)と『キラキラ共和国』(2017年10月25日、幻冬舎)を読んだのは2018年だったのでストーリーは忘れかけている。本作が3作目である。

    江戸時代より続く代書屋のポッポちゃんこと守景鳩子(旧姓雨宮)が3人の子の母親になって逞しくなって帰ってきた。ツバキ文具店には日々いろいろな代書依頼が舞い込みちょっとした波風が起こる。そんな中で先代(祖母:カシ子)の若いころのロマンスが明らかになりかなり盛り上がる。伊豆大島の歴史や暮らしも新鮮で良かった。

    NHKのTVドラマ(2017年4月14日~6月2日)を観てからは、
    守景(雨宮)鳩子 → 多部未華子、
    守景 蜜朗 → 上地雄輔、
    雨宮 カシ子 → 倍賞美津子、
    楠 帆子(パ・ン・ティー) → 片瀬那奈、
    バーバラ婦人 → 江波杏子、
    男爵 → 奥田瑛二、…
    という具合に勝手に登場して演じてくれるので助かる。(亡くなられた方も活き活きとして歳を取らないのだ)

    鎌倉の住人しか知らないディープな情報や四季折々の催事や風景、美味しい食べ物に心が癒される。悪い人が出てこない小説で、とにかく万年筆やインク、便箋の匂いを嗅ぎたくなる本なのだ。
    アナログの手書きの手紙が沢山画像として挿入されていて、書のお手本にもなる。(カラーで原紙も見たいな)

    とても好きな小説なのだ。4作目があると良いなぁ。