ナナ散歩だよナナ散歩だよ2ヶ月前薪割りを始めましたどんぐりの雨降らすコナラにクヌギに…落葉樹形麗しいケヤキの樹に…はかなく枯れゆくサクラの樹枝に…寒いこの時期に様々な理由で伐採されたこの樹木たち虫喰いが少ないピンク色の年輪の今年の丸太はじっとこの春を待っていたのだろうなごめんね…最後の生き様として来年の薪に生まれ変わって天'樹'を全うしてくれ一本一本その重みを感じてみずみずしい香りと共に薪を積み上げてゆくよ今年の薪割りは始まったばかり28
ナナ散歩だよナナ散歩だよ2ヶ月前すっかり忘れてしまっていたよこの春のためだけにじっと苔むした鉢の中で待っていたんだよね…黄金色の花弁も色褪せてそっぽ向きたくもなるよね…梅の花芽を見上げてばかり足元の輝きに気付かないなんて三寒四温の心の余裕見回してごらんそれぞれの春が詩い始めているよ…6
ナナ散歩だよナナ散歩だよ2ヶ月前娘となって…父親らしく無いと離ればなれ…その思ひたどり着けず…笑顔を失ったままの春風の落としもの…何を見ていたのだろう…何を見せていたのだろう…渾沌とした見えざる根の深さよ… 5
ナナ散歩だよナナ散歩だよ2ヶ月前赤い還暦を笑い飛ばした途端 あちこちで心身が言うことを聞かなくなり とぼとぼ紫の古稀へと首かしげ歩き出す…紫紺の喜寿を ゆうゆう越えゆく先達の垣間見せる物憂い呟きに 心してその影を 踏み踏まず……一年が過ぎるのはとても速い時計のはりが溶けて流れてゆく刹那に駆け巡る永遠の聲…今朝の春雨が とうとう寒さを優しく震わせている4
ナナ散歩だよナナ散歩だよ2ヶ月前蕭々と降る雨の気配に時間を忘れて目が覚めた軽い頭痛が両眼の奥から始まっていた気圧の変化に敏感に憂鬱な気分もやってきた昨日いっぱいお味噌作りを終えてふっくら大豆に麹と塩少々納まった壺の中のお仕事は神さまの味加減とおいしい笑顔忙しない気に翻弄されつつもクレヨン色の春はもうすぐ…4
ナナ散歩だよナナ散歩だよ2ヶ月前…人間は一冊の書物なのである。人間が読むことを学ぶのは人間からであり、そして生涯読みつづけるのは人間そのものなのだ。 (森本哲郎)奥の書棚にはいつまでも背表紙を並べたまま目の前の作業台の上には表や裏の表紙を散らかし積み重ねて遊く…読むことが下手で苦労するばかり…いくつもの世界が万華鏡の如く反転し続けているばかり…少し眼を閉じて言葉の耳を澄ましてみようか春の昼下がり沈丁花の花芽がちょっぴりうなずいたみたいだ4