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ナナ散歩だよ
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早起きのナナは ラジオ体操の始まる時間に 枕元で鼻を鳴らし出す 寝返りをする度に 鳴く声が大きくなって いったりきたり 床板まで鳴らし始める… 雨模様の朝は スプリーンな気分だけど 手袋のいらない 優しい空気だから良しとする ナナは 黄色いカッパに着替えさせ 広めの傘に一緒に隠れて 最短コースを歩き抜ける 頭と尻尾をたっぷり濡らして ナナ散歩を終える 庭先では 帰りを待っていた シジュウカラたちが ちゅぴちゅぴ 地鳴きし合って エサ場の充実の催促だ 雨宿りしながら メジロも待っている… 耳鳴りのする 折れ曲がった夢を見たりして 目覚めが重い朝でも さまざまな日常生活の灯が 嬉々として今日も グラデーションを 繰り広げる 静かに寄り添って ながれてゆく 忘却の時間…

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ナナ散歩だよのトーク
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  • ナナ散歩だよ
    ナナ散歩だよ
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    薪割りを始めました

    どんぐりの雨降らす
    コナラにクヌギに…

    落葉樹形麗しい
    ケヤキの樹に…

    はかなく枯れゆく
    サクラの樹枝に…

    寒いこの時期に
    様々な理由で伐採された
    この樹木たち
    虫喰いが少ない
    ピンク色の年輪の
    今年の丸太は
    じっとこの春を
    待っていたのだろうな
    ごめんね…
    最後の生き様として
    来年の薪に生まれ変わって
    天'樹'を全うしてくれ
    一本一本
    その重みを感じて
    みずみずしい香りと共に
    薪を積み上げてゆくよ
    今年の薪割りは
    始まった
    ばかり

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  • ナナ散歩だよ
    ナナ散歩だよ
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    すっかり忘れてしまっていたよ

    この春のためだけに
    じっと苔むした鉢の中で
    待っていたんだよね…

    黄金色の花弁も色褪せて
    そっぽ向きたくもなるよね…

    梅の花芽を見上げてばかり
    足元の輝きに気付かないなんて

    三寒四温の心の余裕
    見回してごらん
    それぞれの春が
    詩い始めているよ…

  • ナナ散歩だよ
    ナナ散歩だよ
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    娘となって…
    父親らしく無いと
    離ればなれ…
    その思ひ
    たどり着けず…
    笑顔を
    失ったままの
    春風の落としもの…
    何を
    見ていたのだろう…
    何を
    見せていたのだろう…
    渾沌とした
    見えざる根の深さよ…

  • ナナ散歩だよ
    ナナ散歩だよ

    赤い還暦を笑い飛ばした途端
    あちこちで心身が
    言うことを聞かなくなり
    とぼとぼ紫の古稀へと
    首かしげ歩き出す…

    紫紺の喜寿を
    ゆうゆう越えゆく先達の
    垣間見せる物憂い呟きに
     心してその影を
      踏み踏まず……


    一年が過ぎるのはとても速い
    時計のはりが
    溶けて流れてゆく
    刹那に駆け巡る
    永遠の聲…

    今朝の春雨が
    とうとう寒さを
    優しく震わせている

  • ナナ散歩だよ
    ナナ散歩だよ

    蕭々と降る雨の気配に
    時間を忘れて
    目が覚めた

    軽い頭痛が
    両眼の奥から始まっていた
    気圧の変化に敏感に
    憂鬱な気分もやってきた


    昨日いっぱい
    お味噌作りを終えて
    ふっくら大豆に麹と塩少々
    納まった壺の中のお仕事は
    神さまの味加減と
    おいしい笑顔

    忙しない気に翻弄されつつも
    クレヨン色の春は
    もうすぐ…

  • ナナ散歩だよ
    ナナ散歩だよ

    みぞれから小雪に変わり…

    東風から春風へ移り…

    この時期は束の間の
    晩冬と早春との
    掛け合い自慢

    物知り顔の天気予報が
    ホッと胸を
    撫で下ろして
    いるよ…

  • ナナ散歩だよ
    ナナ散歩だよ

    …人間は一冊の書物なのである。人間が読むことを学ぶのは人間からであり、そして生涯読みつづけるのは人間そのものなのだ。
             (森本哲郎)



    奥の書棚にはいつまでも
    背表紙を並べたまま
    目の前の作業台の上には
    表や裏の表紙を散らかし
    積み重ねて遊く…

    読むことが
    下手で苦労するばかり…

    いくつもの世界が
    万華鏡の如く
    反転し続けているばかり…

    少し眼を閉じて
    言葉の耳を澄まして
    みようか

    春の昼下がり
    沈丁花の花芽が
    ちょっぴり
    うなずいたみたいだ