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荒木賢二郎の日常
トーク情報荒木賢二郎 三上雅博三上雅博 今更ながらで申し訳ございません。
映画「ローマの休日」を観ました。
お恥ずかしい限りですが今まで観たことがありませんでした。こんなに素晴らしい映画だったなんて。今まで僕は一体何をしていたのか。なんでもっと早く観なかったのか。自分を責めてしまいます。
モノクロの世界。そこは確かに白と黒だけの世界の筈なのに、オードリー・ヘプバーン演じるアン王女の存在によってなんとも美しく華やかに彩られ、その華麗で甘美な情景に心を奪われてしまいます。この、モノクロだからこそ味わえる映像美に酔いしれてしまいます。
笑あり涙あり、ハラハラ、ドキドキ、ワクワク。シンプルでわかりやすくテンポの良いそのストーリーはまるで芸術作品。繊細に緻密に無駄が削り取られた彫刻の様。観る者の心に焼き付くあまりにも美しく魅力的な、歴史に残る名シーンの数々が怒涛の様に押し寄せる。ローマの休日を観てオードリー・ヘプバーン演じるアン王女に恋に堕ちない男が果たしているのだろうか。心の底から感動しました。観て良かった。- 荒木賢二郎
荒木賢二郎 自分が初めて「深夜いたりあんあかはる」に足を踏み入れたのは、もう10年以上前のことだった。
歌舞伎町の奥、雑居ビルの地下にひっそりと佇むその店は、キャバクラや風俗店がひしめく場所の一角にあり、どこか乱雑で落ち着かない雰囲気が漂っていた。
その日は歌舞伎町の第一メトロビルにあった友人のバーが閉店することになり、最後の客が自分とその友人だった。
閉店時間を過ぎても、名残惜しく過ごす最後のひとときを過ごし、店を出ると朝6:30、なんとなくそのまま家に帰る気にはなれなかった。
「もう一軒寄ろうか」と友人が誘ってくれたのが「あかはる」だった。
当時朝7時まで営業していたその小さな店は、どう見てもスナックの居抜きで。
カウンターだけのシンプルな作りで、床も小さなハイチェアも赤いベロアだった。
イタリアンということでメニューは友人に任せて、閉店した店のことを考えていた。何を食べたのか、正直覚えていない。それでも、官能的に美味かったかったことは覚えている。
その日から深夜に一人で通うようになっていった。
店主の赤春さんとも色々な話をした。
彼は強面なアウトローで、髭面に長髪をたらし、酔っ払った客が気に入らなければ、店を気分で閉めてしまうこともあった。けれども、料理の腕は超一流で、彼の一皿にはいつも驚かされていた。時には週に2、3回通うこともあった。彼の影響で、イタリアワインにハマり、色々な店を紹介してもらい、また紹介し、酒と食事、仕事のことまで語り合った。
あの店があったからこそ、歌舞伎町の深夜が少し特別な場所になったような気がする。今はお店も改装されてすっかり綺麗になってしまったが、今でもあのカウンターに座ると、あの頃の気持ちがふと蘇る。
当時浴びるように飲んでいた一番安い白ワインの味を今でも覚えている。
EDDAは最高だけれど、無性にあの時のワインが飲みたくなってしまった。