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渡辺貴子(「ろう文学」編集&発行人)

20代、30代は 自分の想いというものをすぐ文字にしていた ポエムみたいなもの 自分で「ストーリーポエム」と名付けた 思えば中学生の頃 紡木たくの「ホットロード」が大好きで ホットロードに乗っている文章を全部 当時のパソコン〈四角いデスクトップ〉に 打ち出したのが始まりだったと思う また 好きな歌詞を見つけてはパソコンに打ち出していた そうすることによって 自分の想いを文字にすることを学んだんだろう そうしていくうちに自分の想いを文字にしたもの 「ストーリーポエム」が溜まっていった 4年前、令和元年に「ろう文学」の発行を始め 何冊かの冊子、2人のろう女性の小さな本を発行した その流れで 自分の過去の想いをひとつにまとめてみたくなった あの頃、辛かったり悲しかったりした想い それがあったからこそ「今」の自分がいる 自己救済を望んでいたんだと思う 辛かった想いには意味があったのだと 思いたかったんだと思う そうでないとやりきれないから それで自分の想いをひとつの本にまとめた その本を手に取り、読んでいくうちに 自分の過去から解放されていくのを感じた 私が作っているのは小さな冊子だけど 数名のろう者の想いが詰まっている 文章が上手でなくてもその人が書きたいこと 遺したいことがたくさん詰まっている 「書く」ということは 自分の想いを文字にすることで 自分の存在を、自分で確かなものにしていく 自分が経験した想いは幻ではなく確かなものであり それが「今」の自分を形成している それを確認する作業なんだと思う 辛かったことだけでなく 感動したこと、感激したこと ロマンチックな気分になったこと それらの想いを忘れたくない いつでも感じていたい 過去を振り返るというのではなく 人間だからこそ感じる「想い」 私は忘れたくないんだと思う それをもっと多くのろう者に伝えたい 「書く」ことで救われる それが必要なろう者がきっと沢山いるから

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渡辺 貴子(「ろう文学」編集&発行人)
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