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渡辺貴子(「ろう文学」編集&発行人)

YouTubeに流れていた、ひとつの動画 二人の男性がテーブルを挟んで座っているシーンがサムネイルになっていた 一人は見覚えがあった。コーダ(ろう者の親を持つ子供)で手話が使える。奏太くんっていう名前。彼のことは他の動画で見たことがある。 もう一人は初めて見る顔だった。 英翔くんといって、中国人のクォーターだった。 二人とも元々女子のトランスジェンダー。 トランスジェンダーのことはよく分からないが、その動画では、奏太くんが英翔くんに手話で話し、英翔くんは奏太くんに中国語で話していた。 お互いに相手の言語は分からないが、果たして通じ合えるか?という企画だった。 久しぶりに声を出して笑った。 テロップの文字、タイミング、二人の顔の表情、身振りなど、私にはツボだった。 こんなに笑わせてくれる動画は久しぶりだった。 仲の良いYouTuberのグループは他にもいるが、この二人の仲の良さは格別だった。 何らかの、特別な絆が感じられた。 もっと知りたくなり、 彼らの動画で他に動画が出ていないか検索しながら見ているうちに気づいた。 ほとんど、4年前か3年前の動画なのだ。辛うじて2年前のが少しあるぐらい。 あれ、今はどうしているのだろう?と気になり、ネットで調べた。 衝撃的だった。 英翔くんが奏太くんの胸ぐらを掴み、 それが後になって傷害事件となり、英翔くんが逮捕されたのだった。 奏太くんがシェアしていた家から逃げ出し、英翔くんのことを訴えたのだった。 裁判になった。 英翔くんは、10日ほど拘置所に入っていたが、そのうちに出てきた。 奏太くんは別のYouTubeチャンネルを作り、一人で配信を始めた 英翔くんは、ファンから誹謗中傷を受け、ずいぶん苦しんだようだ ネット記事にも色々書かれ、久しぶりに動画に出てきた彼は顔も雰囲気もだいぶ変わっていてやつれていた 何が本当で何が嘘かは分からない 単なる、グループの仲間割れだといえばそれまでかもしれない 見えないところで何かがあったかもしれない 目が離せなかった 自分がやってみたい企画にどんどんチャレンジして 元女子である自分たちを躊躇なく前に出していた 自分たちが思っていること、感じていることを赤裸々に表現していた 登録者数、再生回数を稼ぐことが目的ではあるだろうけれど それだけではない、みんなに伝えたい何かが感じられた がむしゃらに、突っ走っていた 大人しく控えめだった奏太くんも 英翔くんによって、少しずつ変わってきているように感じたのだが 彼なりに色々悩んでいたのかもしれない それでも二人には特別な絆があるように見えた だけど、奏太くんを必要としていたのは英翔くんの方だったかもしれない 一人でも生きていけるかのように見える英翔くんだけど 彼の方が奏太くんを必要としていたのだと思う それが、こんな形でー トランスジェンダー、今は理解が深まってきているけれど 世間にはどんな人がいるか分からない ましてや拘置所 特別に一人の部屋にさせてもらえたらしいが そこに送り込んでしまった奏太くん 辛かったんじゃないだろうか 自分の人生を変えるため、とはいえ そこまでやる必要があったのだろうか 同じトランスジェンダー、 そこまで想像していなかったはずがない 心から信じていた人に裏切られた英翔くん そこに送り込むしか、自分の人生を変えられなかった奏太くん それを思うと心が痛い 今、二人は別々に活動している。 英翔くんは可愛い彼女が出来て、カップルチャンネルをやっている。 だけど、奏太くんのことを忘れられないだろう また奏太くんも英翔くんのことを忘れられるはずがないと思う 「昔も今も家族です」 彼はそう言った。 矛盾しているかもしれないけど、 それもまた本当の気持ちなんだろう 思いは一つだけじゃない 色んな思いがあるのが人間だから これからどうなるかは誰にも分からないけど 彼らなりに、自分の人生を着実に歩んで欲しいと思う また語り合える日が来るかは分からないけれど とにかく今は、それぞれ自分の道を突っ走って欲しい

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渡辺 貴子(「ろう文学」編集&発行人)
トーク情報
  • 渡辺貴子(「ろう文学」編集&発行人)
    渡辺貴子(「ろう文学」編集&発行人)

    「一日遅れのホワイトクリスマス」

    あなたのことを思って
    眠れないでいる夜
    思わせぶりな態度に
    少しだけ腹が立つけど
    あの日あなたと交わした視線
    心がときめいた想いは
    何ものにも変えられないの

    やめた方がいいなんて
    分かっているけど
    止められないこの想い
    ちょっとだけでも
    あなたを感じたくて
    「今」という時を
    もっと味わいたくて

    胸が張り裂けるこの想い
    ほとぼりが冷めるまで待つ
    なんてそう言うけど
    永遠に来ないように思えるよ

    あなたのことを想い
    あなたからの連絡を待って
    夜を明かすクリスマス

    「今 雪が降っているよ」
    夜明けに届いたあなたのメッセージ
    それだけで私が見える景色は
    真っ白になってきらめく
    一日遅れのホワイトクリスマス


    (「今、雪が降っているよ」とメッセージを下さった方がいて、そのメッセージが良かったので作詞してみました😊)

  • 渡辺貴子(「ろう文学」編集&発行人)
    渡辺貴子(「ろう文学」編集&発行人)

    見城さんがこの世に生まれて来たからこそ
    「ろう文学」がある
    見城さんが生きていなかったら
    私は見城さんのことを知らなかった
    ましてや
    編集者になろうと思わなかっただろう
    「編集者の病い」で私は衝撃を受け
    編集者を考えていた私の背中を押してくれた

    時々、755を訪れては
    見城さんの文章を読んで
    自分の気持ちを奮い立たせてきた
    間が空くこともあったけど
    何かあると見城さんの投稿を読んできた

    そうして規模が小さいけれど
    色々な方に見ていただけて
    ろう文学を作ってくれてありがとう
    と言って下さることも増えてきた
    ろう文学のおかげで
    自分を日本語で表現することが出来た
    と言って下さることも
    私は ろう文学を通して
    一人一人の生き方に
    灯りをともすことが出来ているのが
    とても嬉しく 有難く思う

    それも見城さんが生きているから
    出来ること
    本当にありがとうございます、
    と空間に向かって頭を下げる
    見城さんにはあまり
    響かないかもしれないけど
    私は感謝の気持ちを言い続けて行く

  • 渡辺貴子(「ろう文学」編集&発行人)
    渡辺貴子(「ろう文学」編集&発行人)

    私を利用して下さい
    私を踏み台にして下さい
    私を利用して上に上がっていって欲しい
    手話学習者の皆さんに向けて
    そういう話をしたのだが
    その時、私は「あげまん」という言葉を使った
    あえて使ったのだ。
    あげまんになりたいと。

    ろう文学だって
    私が本を作るから
    聞こえない皆さんは私の本を利用して
    自分のことを表現して下さい
    という気持ちなのだ

    あげまんの他にこれ、といった言葉が
    今は見つからない
    その言葉はちょっと、、気をつけた方がいいよ
    と心配して言って下さった方がいたが
    実は私、「性」のことも絡めたかった
    現実的な肉体ではなくて
    精神的な「性」という意味で言いたかった
    目に見えないところで繋がっているからこそ
    私のことを利用して、と。

    自分にしか分からない感情かもしれない
    わざわざ「あげまん」という言葉を
    使うことなかったかもしれないけど
    それが私らしいのではないかと。

  • 渡辺貴子(「ろう文学」編集&発行人)
    渡辺貴子(「ろう文学」編集&発行人)

    宇宙は広い
    そんなこと知ってたけど
    太陽系のような銀河系が1000億あると
    知った時は衝撃的だった
    1000…いや100あるだけでもすごいのに
    1000億?!
    宇宙の広さは私の想像以上だった

    広大なんて言葉では言い尽くせない
    宇宙の果てしない広さ
    そんな宇宙から見たら地球なんてほぼ無いに等しい
    砂浜にある砂の一粒のようなもの
    いや、それよりももっと小さい

    私たちは自分が世界の中心だと思ってる
    それも間違いではない
    すべてミクロでありマクロでもあるのだから

    そんな宇宙の中で私はどう生きるべきか
    宇宙の広さを知ってしまったら
    私の頭の中で考えていることなんて
    本当にちっぽけなもの
    自分の頭では考えられないような
    想像もつかないような世界が
    無数にあるのだ

    それでも私はやっぱりあがくのだ
    もがき続けるのだ
    たくさん悩んで
    たくさん愛して
    この命の限り精一杯生きるのだ
    それが人間であり
    生きていることなんだと思う

    宇宙から見たら
    人の生死なんてちっぽけなことなのかも
    生死を超えた何かが宇宙にはあるだろうなと
    想像は付くけれど
    私はこのちっぽけな頭で
    たくさんのことを思って
    たくさんのことを感じて
    「生」を味わい尽くすんだ

  • 渡辺貴子(「ろう文学」編集&発行人)
    渡辺貴子(「ろう文学」編集&発行人)

    年が離れているのは離れているけど
    彼が生きている時代に私は生まれてきた
    彼が生きている間に私はこうしてここにいる
    それがとても重要だと思う

    先人から学べることは沢山あるけど
    同じ時代に生きていて
    こうして息づいていることが
    すごいことであり重要なことだと思う

    宇宙から見たら
    生死は関係ないかもしれないけど
    私はやっぱり
    生きている間になんとかしたい
    私なりに精一杯の「ありがとう」を
    伝えたい

    「生きていて下さって
    本当にありがとうございます」

  • 渡辺貴子(「ろう文学」編集&発行人)
    渡辺貴子(「ろう文学」編集&発行人)

    私、バカになりたかったんだ
    といってもやる時はちゃんとやる、そんなバカ

    私、優等生で居たくなかったんだ
    何言ってんの?って突っ込まれるような
    そんなバカになりたかったんだ

    振り幅の大きい人間、
    そんな人間に魅力を感じて
    憧れの気持ちを抱いていたんだ
    今 気づいた

    言わなくていいようなことを言ったり
    書かなくていいようなことを書いたり
    私はバカな性格面を持っていたかったんだ
    いや、もうすでに自分にあったけど
    気づかなかっただけだ
    あるいは、少し前まで
    そんな面にフタをしていただけだったんだ

    二面性のある、しかも振り幅のある人間
    めちゃくちゃ憧れるし、そんな人になりたい

  • 渡辺貴子(「ろう文学」編集&発行人)
    渡辺貴子(「ろう文学」編集&発行人)

    なぜ彼が私の前に現れて来たのか
    分かった
    今の私にとって必要なものが入ってきたから
    それと同時に悟った
    彼はもう二度と私の前に現れないと

    今の私に必要な情報
    彼が居なければ知り得ることがなかった
    私が彼に興味を持たなければ
    知り得ることのなかった情報
    だから彼が私の前に現れたんだ
    そして
    彼の私に対する役目は終わった

    とても寂しい こんなにも寂しいなんて
    「ありがとう」って思うべきなのに
    寂しい気持ちが打ち勝ってしまう

    別れがあるから新しい出会いがある
    そのフレーズが頭に浮かんできた
    全くその通りだし 新たな目標も出来た

    だけどやっぱり寂しい
    私のエゴだけど 寂しいものは素直に寂しい
    ただそれと同じくらい彼の幸せを願ってる
    何年か後になってもいいから
    またどこかで会えますように
    その時は笑って話せますように