4月23日(木)
甥っ子からテレビ電話がきた。
つないでみると、何やら少し緊張している様子。
この前会ったのが2年ほど前なので無理もない。
「じっくん(いつも呼んでいる呼び方)、元気か~?」と声をかけてあげると
「うん!元気やで!ガーデニングマシン!(僕がじっくんから呼ばれている名前。一度姉の家に遊びに行ったときに庭いじりの手伝いをしているのが印象的だったらしい)」
と、笑って返してくれた。
僕が
「じっくん最近何してんのー」と聞くと
じっくんは
「最近はな、工作!工作めちゃしてんねん!」
と言った。
「何、作ったん?」
と聞くと
「星条旗!」と答えてくれた。
何か見るのも怖かったので
すごいな~とだけ言っておいた。
するとじっくんは
「ガデシンは最近何してんの~?」
と聞いてきた。
僕は
「ん~?最近?そやねぇ…」
と言いながら
何もしていないことに気付いた。
何も言うことがない。
これはまずい。
必死に頭を回すが、何も出てこない。
何もしていないのだから。
冷や汗があふれでる。
続く沈黙。
するとじっくんが
「うん、また最近何してるか分かったら連絡ちょーだい~」
と言い電話を切った。
甥っ子に警鐘を鳴らされた。
甥っ子の無垢な質問に対して何も答えられなかった自分に絶望し、恥ずかしながら私は失禁していた。
だんだんと黒く広がっていくズボンの染みが、
私の心を蝕む闇のようにすら思えた。
闇を打ち払うため、私は明日、家でミルクレープを作ろうと心に決めたのであった。
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