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藪医者外来へようこそ。
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  • 藪 医師(中山祐次郎)
    MiRAIMiRAI
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     [栄光のバックホーム]の素晴らしさについて、何度でもしっかりと書いておきたい。

     まず、「病」と「死」に立ち向かう話である以上、観る側にも覚悟を求められる映画だということ。作り手との間に“人対人”として対峙する無言の交錯が確かに存在し、これを徹底的につきつけられる。

     もし[奇跡のバックホーム]を映画化されていたのなら、あのバックホームの“奇跡”や阪神の優勝に、よりフォーカスした映画になったと思う。これだけでも凄いことなのだが、見城さんは、この物語を母親の目線で書かれた[栄光のバックホーム]を創り上げられた。これによって背景に死生観が立ち上がり、私たち自身の生き方をより深く問う大作となった。

     これを映像化するにあたっての根幹にある凄み。それは、肉体の感覚、肉体の意識を徹底的に再現する姿勢と言える。これを私は最初、ほとんど理解できていなかった。

     作品全体に、どこか“未成品”のようなザラつきが漂う。昨今の映画らしいCGや構成、美談扱いを徹底的に拒む。これらは所詮小手先だと言わんばかりに、一貫して私たちを現場に導き、そのうえで、役者の肉体や体温、生命力の激しさ、リアルな情景に語らせていく。

     主演である松谷鷹也さんと鈴木京香さんは圧巻だった。肉体から噴き出る存在感を見せつけられた。
     松谷鷹也さん演じる横田慎太郎さんの熱狂、圧倒的努力、目標を掲げ立ち向かう姿勢。病と闘いながらも決して消えなかったその根源的な情念を想像したとき、自分の内側にもそれがあるのかと、問わずにはいられなくなった。
     鈴木京香さん演じる母親の、全身全霊を捧げるかのような母性、家族の絆、球団や仲間の男同士のやりとり。まるでその場にいたかのように、自分自身の心のヒダに染み込んでいった。

     過日、テレ朝の番組「奇跡のバックホーム 〜阪神 横田慎太郎の物語〜」を観たのだが、終盤に、この物語の深みに触れる、とても腑に落ちるシーンがあった。それは、取材を受けるご両親の背景に虹がかかる場面。私はこの虹を見て、“最後の港”という言葉を思い出した。作品の中で、母親が闘病中の慎太郎さんを諭すように語った言葉だ。
     横田慎太郎さんは、あなたとの人生は最高だったと、家族から声をかけられながら亡くなったのだが、そのことと、この虹、港という言葉が心の中で重なった。人間の人生の価値とは、様々な絆を断ち切った先になお残る時間軸を超えた何か。そんな、未知の領域すら交錯させ思考したくなる、人間存在の根源に触れる作品だった。

     見城さん、秋山監督。大変見応えのある、素晴らしい映画でした。ありがとうございました。この作品が、多くの人に届きますように。公開が近づくにつれ、私まで緊張しています。

  • 藪 医師(中山祐次郎)
    MiRAIMiRAI

    ↑ まだです。
     すみません、笑。
     
     いや、
     私は中山先生と出会えて
     本当嬉しいです。
     見城さんとのご縁、
     まだ出会っていない方々とのご縁。
     我らどうなるのかな?
     謎ですね 笑。
     
     ありがとうございます。
     私も奮闘致します。

  • 藪 医師(中山祐次郎)
    umiumi
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    中山祐次郎著[走れ外科医]
    本作に登場する向井葵二十一歳(胃癌ステージⅣ)の生きざま、それに公私で伴走する主人公雨野隆治や後輩外科医の西桜寺凛子の言動や心情をなぞりながら一冊を読み終えたことで、グリーフケア(大切な人を失った悲嘆を抱える人に寄り添い、支援するケア)を受けているように癒される側面もありました。また同時に、これから必ず訪れる肉親や自らの死に後悔なく向き合うためのヒントが散りばめられているように思いました。
    患者と医者という関係を超えて挑んだ葵と隆治らの富士登山は、そのメタファーでもあるように感じたのです。
    そして、雨野先生や佐藤先生の私生活や恋愛も清涼感とともに描かれていて、こんな私でもキュンとして心が澄んでいくようでした。
    どの登場人物の公私も粒立って輝いて映るのは、藪先生がかつて是が非でも立ちたかった外科医という未来にいま立っているからなのでしょうか。その実践の中にあってこそ生まれる輝きに満ちた言葉(物語)=命が、読者の心を揺らしては、読者の日々をも変える。
    変化を優しく急きたてる。
    周回遅れの[泣くな研修医]シリーズ読書、皆さんに追いつけるようにわたしも走ります🏃‍♀️‍➡️

  • 藪 医師(中山祐次郎)
    藪 医師(中山祐次郎)

    umiさん、本当にありがとうございます。

    ここでだけ、本音を申せば、この「走れ外科医 泣くな研修医3」は、自分のために、自らのグリーフケアのために書いたのです。苦しい執筆でした。ですが、作品の中で私は「葵」とまた会うことができました。書いている日々は、まるで死者を蘇らせたかのように、空想の中で、楽しく会話をしたり、どこかに出かけたりをしていました。
    ですが、この次の作品で……

    ここから先はまた。
    お読みいただき、感想までお聞かせくださり、本当に嬉しいです。