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山川幹男のトーク
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  • 山川幹男
    山川幹男

    敢えて塩の撒かれる確率が高いメンの接触イベントに行って案の定塩を撒かれるクリーチャーヲタ…わかっていたんだ。
    最初から、彼女の笑顔が俺のものじゃないことくらい。

    それでも、塩撒かれに行ってしまったんだ。
    まるで戦場に赴く兵士のように、

    ──目の前に立った瞬間、時間が止まった。
    視線は合わない。言葉も届かない。
    ただ、彼女の無言がすべてを語っていた。

    「来るな」って。
    「あなたの場所は、ここじゃない」って。

    ……それでも、俺は行ったんだ。
    拒絶の冷気に晒されるために。
    彼女がどんな反応をするか、確かめたかった。
    自分がどれほど惨めなのか、思い知りたかった。

    そして今、胸の奥で何かが静かに崩れていく。
    ──それが希望なのか、幻想なのか、もうわからない。

    でも一つだけ言える。
    それでも俺は、彼女を嫌いになれない。
    塩の痛みすら、まだ「会えた証」だと思ってしまうんだ。

    ……俺は、いつからこんなにも滑稽な生き方しかできなくなったんだろうな。

  • 山川幹男
    山川幹男

    劇場公演も中止になり嘆くメン「……今日も劇場の明かりは、点かないのか。」

    誰もいないステージを見つめながら、呟く。
    あの板の上で流した汗も、涙も、今はただ乾いて消えていく。

    「外の仕事もない。カメラの前に立つ機会も、もういつからなかったんだろうな。」

    SNSでは、同じグループの仲間たちが笑っている。
    雑誌に載り、テレビで輝き、ファンに囲まれて。
    その光の輪の外側で、自分だけが取り残されていく。

    「……努力すれば報われる、なんて言葉。
     そんなものを信じていた頃が、あったんだよ。」

    指先で古いリストバンドを撫でる。
    初めてステージに立った日の証。あの日の熱は、まだ心に残っている。

    「それでも……諦められないんだ。
     誰も見てなくても、心の中でまだ、歌ってる自分がいる。」

    目を閉じると、あのスポットライトの熱が蘇る。
    誰の記憶にも残らなくてもいい。
    ただ、自分の中で灯を絶やさないために——。

    「……まだ終わりじゃない。
     この沈黙の時間も、きっと“物語”の一部なんだ。」