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読書備忘録 2月 『シモーヌ・ヴェイユ・アンソロジー』 『太宰治全集』 『圏外編集者』 『傲慢と善良』 『たたずまいの美学』 2月は読了したタイトルの通りで、錯乱と静穏の間で、フワフワしながら過ごしました。 仕事に関連したものを除外すると、ここ数年は読書をさほどしていなかった。 しかし、コロナで引き篭もり生活が始まった辺りから、古典や比較的売れている小説などは読む様になりました。 僕の場合、(本を読まなきゃ!)って意気込む事が殆ど無いんです。 読書の優先順位もそんなに高くはないし、若い頃の様な乱読も今はやらない。 ただ先月は太宰にどっぷりハマりました。 特に『HUMANLOST』は、ここまで世の中が悲壮感に満ち溢れていると、あの独特の重ささえも軽く感じて来るのだから不思議です。 特に本文中にある「妻をののしる文。」は、入院中に脳内で理性が完全に消失したとはいえ、特有の鋭い感覚までは消えていない事が証明されている。 まぁ、この時期の私生活の乱れ具合を考えると、同情する点も多々ありますが。 太宰は『小説の面白さ』で「小説は、婦女子を騙せたら大成功」なんて言ったり、「『夜明け前』を読了し寝て起きたら内容を忘れていた」なんて事も言っているのだから、文豪に対して失礼かも知れないが、こういう捉え方も満更間違えてはいない気はします。 小説って作家自身の内部に存在する、いわゆる「異界」を見せてくれる訳だけれど、太宰って妙な思想が絡んでいないから、暗く重い作品でも楽しめるのでしょう。

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    ミニコミからスタートした『ロッキン・オン』の創始者であり、かなり偏った評論家として有名な渋谷陽一が療養に入って一年になる。

    学生時代に聴いていたサウンド・ストリートは、ブリティッシュロックに偏った選曲で刺激的だった。
    当時主流だった「ベストヒットUSA」や「MTV」のアメリカ主体の洋楽ではなく、シンプルなギターロックが中心。
    ジョイ・ディビジョン、ニュー・オーダー、スミス、PIL、ディス・ヒート、バウハウス、ジザメリなど、僕の人生に彩りを与えた音楽に出会えたのは、全て渋谷陽一のお陰。

    ミュージックマガジンの故中村社長に「あいつは楽器は下手なくせに、古いブルースやソウルについて偉そうに書いてやがる」という記事を読んだ事があるが、渋谷さんは表彰式など公式の場では野次られるほど嫌われていたそうだ。
    役者やミュージシャンなど、いわゆる文筆の素人が書く批評が読まれれば読まれるほど、面白ければ面白いほど、職業評論家の怒りは増幅したんでしょう。
    本来、筆だけで競う土俵なのに、楽器の巧さまで持ちだすのはあまりにも理不尽な気がします。
    まぁ先に喧嘩売ったのは渋谷陽一の方だけど。

    ピーター・バラカンとの辛口対談や佐野元春とのソウル談義など、もう一度聴きたいテーマはまだまだ沢山ある。
    今はゆっくり療養して頂き、ぜひとも再開してもらいたいものだ。

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    https://youtu.be/x-PtdM08LKA?si=TR5V3w-3ki-qzrTo

    友人から「チバユウスケ、亡くなったよ」って電話もらって一年か。
    ホント早いなぁ。
    アベの高速カッティングとチバのガナル歌は、人によっては不快だと思う。
    しかし、ブリティッシュロックとレゲエを独自の解釈でミックスし、同世代には懐かしいテイストの曲を唯一無二の歌声で聴かせてくれたバンドだった。
    デビュー直後にNHKが特番を放送したけれど、そもそも新人バンドを国営放送が1時間も特集する事自体がレアだったので深夜だったが観ながら録画し、何度も繰り返し観た。

    ミッシェル、ロッソ、バースディのライブはそれぞれ一回づつ行った事がある。
    その時の様子を例えるなら、ミッシェルは「おらおらー!」、ロッソは「俺はこういうのやりたかったんだよなぁ」、バースディが「高校時代に聴いてたロックやるから観に来てよ」って感じ。
    特にバースディのライブは心地良いものだった。

    チバの書く詩は造語が多く含まれているが、その理由について「響きがかっこいいから笑。意味なんてない」と、語っていた。
    しかしこれに似た事を三島由紀夫も言っていたし、辛口な渋谷陽一もビートニクのイメージを用いて造語の完成度を高評価していた。

    聴き手へストレートに届かない言葉は文字にすると意味のないものだが、三島は文字の「形」に拘り、チバは言語の「響き」に拘っていたようだ。
    ここに作家としての余裕に感じてしまう。

    本来なら時速200キロで走れる車が、そこら辺を徘徊している様な詩は、その余力を反芻へ廻している気がする。
    真っ直ぐ行けば行けるのに、敢えて迂回し批評的スタンスを取る表現は、余白のなかった後期ミッシェルとは大きく異なる。

    まぁ、チバやアベについては色々言いたい事はあるけど、同世代で、同じ様なバンドを聴いてきたからこそ伝わるものがある。
    まぁファンクラブ入ったり、記事を隅々まで読む様な人から見たら、かなりテキトーなファンの1人だけれど。
    命日の2日後にアップするくらいの節度は持ってるつもり。
    それと「元ミッシェル」じゃなく「The Birthdayのチバ」だからね。

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    低予算ながら口コミで上映館が拡大している作品。

    序盤から面白く、また短いながら所々に差し込まれる殺陣もバリエーション豊かで楽しめたのだが、物語が進むにつれ不安が募っていった。
    それは(単なるコメディに収まらず、最後にしっかり殺陣を見せてくれるのだろうか)という事でした。
    しかし、ラストの殺陣は勝新でもリアリズムを追求した黒澤でもなく、本物の侍同士の戦い(観た人なら分かる)の迫力が伝わる大満足の終幕。
    また、このシーンで「カメラを止められない」という監督の台詞があったが、低予算映画への応援と感じたけれど、これは深読みし過ぎかな?笑

    アメリカで『SHOGUN』が賞レースを総ナメにしたが、日本ではNHKでさえ大河以外は製作されない現在。
    時代劇が下火になっているのは、スポンサー企業が若い世代へ向けたCMの効果が期待出来ないからだろうが、『木枯らし紋次郎』や『破れ傘刀舟』なんて今見ても面白い。
    人間の業とかアイドル主演作品もいいけれど、勧善懲悪ものの時代劇を、今の若い人達にも観て貰いたいなぁ。

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    Netflixで『セキュリティ・チェック』を観たが、王道の空港パニック作品で楽しめました。
    予定調和だ何だっていう人もいそうだが、エンディングに至るまでの展開の速さと、主人公の逡巡をじっくり見せる緩急は👍
    クリスマス、空港パニック、テロリストと言えば『ダイ・ハード2』を思い出したが、こちらは銃撃戦が無い代わりにストーリーの面白みが際立っていた。
    宣伝が上手で、劇場に足を運ばせる事に長けていて、いい役者を軒並み揃えて、毎回肩透かしに合う監督作品より、配信サイトの作品の方が面白いってどうなん?笑

    この週末は他に4本観た。
    カート・ラッセルの『ニューヨーク1997』、『イル・ポスティーノ』、ルトガー・ハウアーの『ヒッチャー』、それと新作の邦画を近所のシネコンで。
    素材はいいのに調理師の技量がないと平凡な料理になってしまうのと同じで、いい役者を揃えても平凡な映画になるという体験も出来た週末でした。
    まぁ『地面師』をつまらないという人もいれば、今朝見た邦画を絶賛する人もいるのと同じで、観る側は勝手なものだ。

    「いい映画、いい本」ってのは、見返したり読み返した時に新しい発見が必ずあるものだと思っている。
    時間の経過によって自分の思考や感性が変化して、昔は気づかなかった「何か」が見つかる時がある。
    最初正解だと思っていたものも、長い時間をかけて不正確になるものもあるように、「いい作品」って、そう簡単に出会えるもんじゃないですね。

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    結局チケットを購入していた列車には乗れず、30分遅れの自由席にて。
    しかし、博多を過ぎても満席、熊本を過ぎてもさほど変わらず。
    ちょっとナメてました。。
    疲れた。

    明日は同窓会があるんだけど、その前にお墓参り。
    幼稚園の頃からずっと仲良くしていた友達にお供えをして、それから年末を楽しもうと思う。

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    新幹線に乗り遅れようと、自由席で窮屈な思いをしようと、本読んで、眠くなったら寝て、気づいたら鹿児島に着くだろう。くらいで丁度良かった。
    旅に本は欠かせない。

    そのおかげで好きな作家ではないが、あるノーベル賞作家の小説を改めて読む時間を設ける事も出来た。

    この作品の主題は不倫。
    しかしこの女性作家は日本人作家の類とは全く違う。
    生々しさを削ぎ落とし、冷たく渇いた筆致で紡がれる男女の物語は、自伝的ではあっても**的ではない。
    恍惚とか耽溺、憐憫を意識的に回避するテクニックのお陰で、自分の様な凡才には心地よい読後感でした。

    自分が惚れ込んでいないものについて書く事は止めたけれど、常に本気で読んでいるし観ているので、誰かの意見を参考にして感想を書く事はないですね。

    今年も色々書いたけれど、単なる感想文を読んで、更には拍手までして頂き恐縮しています。

    それでは皆さま、良いお年を。

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