鈴江信彦鈴江信彦2日前朝の散歩@上目黒2丁目静寂が、まだ世界を支配している。風も、鳥も、思考も、すべてが息を潜める刻。僕は、その沈黙の中に立つ。何も命じず、何も抗わず。ただ、己の呼吸を調律する。一歩、地を踏む。その響きが、世界の律となる。世界が目覚める前に、僕の魂はすでに、全てを掌握している。そして朝の光は、僕の静寂に従い、秩序の証として、影を落とす。38
鈴江信彦鈴江信彦1日前朝の散歩@祐天寺1丁目静かに降る。それは、天が語る沈黙。すべてを濡らし、善も悪も、区別を溶かしていく。人は傘をさし、境界をつくる。だが、雨は笑う。「それもまた、流れの一部だ」と。涙も、赦しも、雨の中では同じ温度をもつ。世界は、いまも濡れながら新しい呼吸を覚えている。僕もまた、この雨に打たれながら、ひとつの思想を洗い流していく。濡れるたびに、僕は――透明になる。33
鈴江信彦鈴江信彦14時間前朝の散歩@中目黒3丁目焦らず、急がず、ただ歩く。風が頬を撫で、光が、道の端に落ちる。それだけで、今日という日が始まる。流れに乗るとは、流されることではない。世界の呼吸に、自分の鼓動を重ねること。痛みも、迷いも、ひとつの流れの中にある。抗わずに受け入れれば、いつか、それも優しさに変わる。僕は今日も、静けさの中で、世界と歩調を合わせながら、生きている。31
鈴江信彦鈴江信彦2時間前他者に思うことは大体が自分自身の嫌な部分それでも誰かを見て心が揺れるのは同じ痛みを心のどこかで知っているから腹立たしさの裏には理解されたい願いがあり軽蔑の奥には愛されたい孤独がある見たくない影をそっと抱きしめるたびに人は少しずつ優しくなれる他者は僕を責めるための鏡ではなく僕を赦すための鏡なのだ21