鈴江信彦鈴江信彦3日前僕の中の悪魔は、滅ぼすために生まれたのではない。燃える衝動も、切り裂く真実も、ただ、生の一部としてある。緑の光の下、悪魔は静かに微笑む。僕はもう、逃げない。善も悪も、聖も俗も、境など最初からなかった。あるのは、この命の熱だけ。闘わず、歩く。悪魔と共に歩く。その影が僕を形づくり、その闇が僕を静かに照らす。28
鈴江信彦鈴江信彦2日前朝の散歩@上目黒2丁目静寂が、まだ世界を支配している。風も、鳥も、思考も、すべてが息を潜める刻。僕は、その沈黙の中に立つ。何も命じず、何も抗わず。ただ、己の呼吸を調律する。一歩、地を踏む。その響きが、世界の律となる。世界が目覚める前に、僕の魂はすでに、全てを掌握している。そして朝の光は、僕の静寂に従い、秩序の証として、影を落とす。38
鈴江信彦鈴江信彦1日前朝の散歩@祐天寺1丁目静かに降る。それは、天が語る沈黙。すべてを濡らし、善も悪も、区別を溶かしていく。人は傘をさし、境界をつくる。だが、雨は笑う。「それもまた、流れの一部だ」と。涙も、赦しも、雨の中では同じ温度をもつ。世界は、いまも濡れながら新しい呼吸を覚えている。僕もまた、この雨に打たれながら、ひとつの思想を洗い流していく。濡れるたびに、僕は――透明になる。33
鈴江信彦鈴江信彦10時間前朝の散歩@中目黒3丁目焦らず、急がず、ただ歩く。風が頬を撫で、光が、道の端に落ちる。それだけで、今日という日が始まる。流れに乗るとは、流されることではない。世界の呼吸に、自分の鼓動を重ねること。痛みも、迷いも、ひとつの流れの中にある。抗わずに受け入れれば、いつか、それも優しさに変わる。僕は今日も、静けさの中で、世界と歩調を合わせながら、生きている。31