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吉田真悟
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No.537、538 『燃えよ剣』上下  司馬遼太郎 著  (1972/5/30 新潮文庫) 2021/06/14(6/12読了) 見城先生からこの映画のご紹介が無ければ絶対に読まなかったでしょう。『坂の上の雲』以来、久しぶりの司馬遼太郎作品でした。 しかしずるいな司馬さん。『竜馬がゆく』を討幕派の目線で描き、この『燃えよ剣』では新選組の土方歳三を中心とする敗れ去る幕府軍側の目線で、同じ時期に二作品を同時に執筆連載していたとは。 フィクションとして読むにはもってこいの作家なのですが、史実かどうとか疑いだすと読むスピードが鈍って、結局事実を自分で調べろよという結論になってしまう。その調べる力がないから、ずーっとグレーなノンフィクションのままとなってしまっている。まあ楽しかったから良いけど。 物語の主人公は土方歳三。言わずと知れた幕末の戦慄の暗殺集団、新選組の副長である。夜這い上手の女たらしとして始まるのだが、度外れの『喧嘩師』であった。当時の日本では思想をほとんど口にしない珍しい行動の人である。「男には節義がある。これは古今、不易なものだ。乱世にうまれ乱世で死ぬ。これこそ男子の本懐である。」司馬遼太郎が土方歳三に言わせた、この言葉にこそ彼のぶれない芯がある。大政奉還後に揺れ動く近藤勇に諭す言葉であり、私も痺れた。新選組を血の掟で縛り、戦争に明け暮れ、時に恋をし、歴史に殉じた。仲間を粛清する場面では血も涙もない悪党にしか思えないのだが何処に行っても孤軍奮闘し敵に一泡吹かせる痛快な生き方の彼を嫌いになる人がいると思えない。誰もが彼を好きになる書き方である。まったくずるい。 それに引換え、徳川慶喜や松平容保のなんと腰抜けで卑怯かと思わせる書きっぷり。対照的である。 まあ鵜呑みには出来ないがね……。 故郷の海、宮古湾で海戦があり我が山田湾にも土方歳三が船に乗って現れていたなんて知らなかったよ。凄く親近感が増しました。調べなくては。 映画も面白いと先生のお墨付きだし、しばらく目が離せないね。 【引いた言葉】 https://ja.m.wikipedia.org/wiki/土方歳三 衢地『くち』と読みます。 3国以上がひしめき合う要所の事で、ここに居たなら、外交をしろと言う教えです。 戦には、状況(戦場、土地など)によって、それに応じた戦い方があり、9つのケースに大別できる。 ◆因みに9つの兵法は、以下です。 「散地」とは、自国内(で戦う場合)である。散地での戦い(本土決戦)は避けるべきである。 「軽地」とは、敵国の国境付近で、まだ深く敵国に進入しない場合である。軽地には止ってはならず、そのまま進むべきである。 「争地」とは、敵味方いずれにとっても、得れぱ有利となる土地である。争地にある敵には、攻め込んではならない。 「交地」とは、敵味方と通行しやすい場所である。通行、連絡を絶たれぬようにすること。 「衢地」とは、3国以上がひしめき合う要所である。ここを得たら、外交交渉を行うべきである。 「重地」とは、敵国に深く進入し、周囲敵だらけの場合である。ここでは食糧,物資は現地調達するべきである。 「坦地」とは、山林、険しい山、湿地帯など、進軍が困難な場所である。ここにと留まらず、速やかに通過するべきである。 「囲地」とは、入り易く、退き難い場所で、少ない敵が我が大軍を撃破できる場所である。ここで戦うには計略を使う必要がある。 「死地」とは、速やかに戦えば生き、モタモタすれば滅ぶ場合である。もはや速攻で戦う以外にない。 おかめ-はちもく【岡目八目】 事の当事者よりも、第三者のほうが情勢や利害得失などを正しく判断できること。囲碁から出た語。碁をわきから見ていると、実際に打っている人よりも、八目も先まで手を見越すという意から。▽「岡目」は他人がしていることをわきで見ていること。「目」は碁盤の目の意。「岡」は「傍」とも書く。 推(お)して知(し)るべし 推し量ればわかるはずだ。容易に推察できる。「他は推して知るべし」

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  • 吉田真悟
    吉田真悟
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    No.733 
    『八日目の蝉』角田光代著
    (2007/3/25 中央公論新社)

    2024/05/14 
    (Amazon Audibleで3/19視聴)

    不倫相手の子供を衝動的に盗み出し、数年も連れ回す主人公に徐々に情が移っていくが、いつ捕まるのかと緊張感がずっと続いた。

    母親ごっごに付き合わされるが、決して不快ではない。子を守る母親として主人公の「希和子」になりきり、行く先々で世話してくれる他人の人情に触れ、逃亡生活をハラハラしながら追っかけて、最後は誘拐が発覚して捕まってしまい一旦ホットするも、今度は「薫」(子供)の目線でその後の第二章が始まる。希和子と同じような不倫をしてしまう薫に、またかといった諦めを感じる。

    希和子と薫の最後のすれ違いについても、やきもきしつつ諦めてしまう。
    そこで出会ったなら、お互いを十分に理解できただろうかな?

  • 吉田真悟
    吉田真悟

    No.734
    『キングスマン ファースト・エージェント』
    『キングスマン』
    『キングスマン ゴールデン・サークル』
    3作品、3/20に観覧終了(Amazon Prime Video)

    本気で作った紳士の国の映画だった。
    何度も観たが、痛快で面白い。金をかけているのがよくわかる。
    そして人が簡単に死ぬため罪悪感がない。そこが良い。

    「ファーストエージェント」
    1914年当時(どこまでが本当か私にはわからないが)
    凶悪な「羊飼い」との死闘を終えたオックスフォード公が、
    英国国王ジョージ5世の協力の下、高級テーラー内に国家権力から独立した諜報機関「Kingsman」を作る話。

    ・イギリス国王のジョージ5世、ドイツ皇帝のヴィルヘルム2世、ロシア皇帝のニコライ2世がいとこ同士だったとは知らなかった。
    ・「羊飼い」を名乗る謎の男が世界を混乱させるべく秘密会議を開いていたが、ロシアの怪僧ラスプーチン、女スパイマタ・ハリ、ロシアの革命家レーニンといったそうそうたる歴史上の人物が登場する。後に世界を震撼させるキーパーソンたち。なのでなかなか、スケールの大きい時代がかったスパイアクション映画となっている。

    「キングスマン」
    キングスマンのメンバーの一人が冒頭で死んでしまい、その後任を危険な試験で選抜する。かつて自分の父がメンバーだったエグジーがもう一人の女性と選ばれるが、スマホを使い世界中を暴力的に洗脳する悪と戦うといった超アクション大作である。杖や傘などの独特の武器や防御アイテムが面白い。エグジーの成長と義理の父親との対決に鳥肌がたった。少年が一人前の大人にいきなりなってしまい、まぶしいのである。

    「ゴールデン・サークル」
    麻薬密売組織ゴールデン・サークルの女ボスとの闘いがメインのストーリィ。
    麻薬に仕込んだ毒物により世界中がパニックになるが、すんでところで解毒剤を手に入れて世界を救うというお話。
    米国諜報組織ステイツマンとキングスマンの関係(バーボンやテキーラって太陽に吠えろか?)が近いのか遠いのかいまいちわからなかった。親しい仲間の死がさらっとしていて心に沁みた。

    新作が出たら必ず観るよ。

  • 吉田真悟
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    No.735
    『変な家』 雨穴著(2021/07/22 飛鳥新社)

    2024/07/01 (Amazon Audibleで3/22に視聴) 
    ホラー・サスペンス。
    緻密にデザインされたディテールは凄いの一言。
    本当に怖くなり鳥肌が何度も立ったが、引き寄せられて先を読みたくなる。
    中毒性がある本である。夜に一人では読まない方が良いな。おしっこ漏らしそうだから、映画は観ない(^^)/

  • 吉田真悟
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    No.736
    『変な絵』 雨穴著
    (2022/10/20 双葉社)

    2024/07/01 (Amazon Audibleで3/22に視聴) 
    ばらばらの不気味な話がどう合体していくのか?
    結末を知りたいのだが、恐ろしいし、不気味だし、躊躇しながら先を読んでしまう。一体誰が主人公?犯人?被害者?いびつな絵の意味が分かってくると恐怖が何倍にも膨れ上がる。
    最終章でやっと最初の絵の意味が分かり、主人公が分かって全部つながった。
    どえれー怖かった。
    夏にぴったりの本。

  • 吉田真悟
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    No.737
    『吉原手引草』 
    松井今朝子著
    (2007/3/1 幻冬舎)

    2024/07/01 (Amazon Audibleで3/23に視聴) 
    身請けが決まった遊女・葛城が、幸福の絶頂に突然失踪する。多くの人のインタビュー(3人称多視点)でその事実が明らかになっていく。
    どうも、仇討ちが隠れているし、人情噺でもある。
    よくある形式だが、書くのは大変であろうと思う。
    いきさつを忘れてこの文章を今、書いている。はぁ。

    第137回直木賞受賞作と聞いて気になって古本屋で買った。大変面白かった。

  • 吉田真悟
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    No.738
    『夜と霧』
    ヴィクトール・E・フランクル著(2002/11/06 みすず書房)

    2024/07/01 (Amazon Audibleで3/24に視聴) 
    極限の恐怖でも生還することが分かっていたからなんとか読めたがきつい本だ。
    人間の尊厳やプライドが粉々になったとき、人は何をしだすのか?
    人類全体の負の貴重な体験記録である。子孫に語り継がなくてはならないと思った。
    今日石で追われた人達が明日は別の民を蹂躙する。
    今、ガザで起きていることはこの本とは全く関係ないと思おう。人類の進歩はいつまで止まったままだろう。共通の敵が現れない限り、その連鎖は繰り返すのだろうなぁ。愚かなり

  • 吉田真悟
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    No.739
    『読書という荒野』
    見城徹著
    (2020/04/03 幻冬舎文庫) 

    2024/07/02 (Amazon Audibleで3/25に視聴) 
    読んだはずなのに覚えていないことだらけで愕然とする。見城先生のお祖父様は森鴎外の友人で高名な医者だったそうだ。今更知る驚愕の事実。多分忘れただけなのだが。

    いったん読むと、とんでもなく読みたい本が増えてしまう。いや、前回もピックアップしたはずだが、怠慢である。『罪と罰』、『邪宗門』から読んでみるか。

    そうすると『仮面の告白』、『豊穣の海』、『金閣寺』などはいつになったら読めるのだろうかな。細かく読書計画を立てなくてはならないなぁ。早く読めよ自分!

    読書が荒野になる日まで精進しよう