MiRAIのトーク
トーク情報MiRAI 藪 医師(中山祐次郎)藪 医師(中山祐次郎) 【重版御礼】
こないだ出した小説『迷うな女性外科医』が2週間で重版になりました。初版5万部が重かったけど良かった。ありがとうございます!ついでに「外科医、島へ」も3刷!ありがとうございます🙇♂️
「迷うな女性外科医」2刷3000部 累計5万3000部
『外科医、島へ』3刷3000部 累計5万6000部- MiRAI
MiRAI [君に情熱を教えよう 石原慎太郎]
昭和49年10月20日印刷
昭和49年11月1日初版発行
ご長男の伸晃さんが高校生の頃なのだろうか。親子お二人でヒマラヤの旅をされた感慨を、石原慎太郎さんが伸晃さんの為に語り、吐露する文体で綴られている。情熱の本質をテーマに、アンドレ・ジッドの散文詩「地の糧」のように紡ぎ出される石原さんの言葉に、何度も感銘をうけ、唸るような気持ちになってしまった。
前半は、“極”なる山「ヒマラヤ」を目の当たりにされた石原慎太郎さんの胸中。
ヒンドゥーの神々が住む山々。世界を見通す第三の眼を得んと修行する者。高度計が6000mを越えてもなお飛翔する小さな飛行機に身をゆだね、死を覚悟しながら大氷河を見下ろし、数々の峰を超えていかれる石原慎太郎さんのお気持ちに思いを馳せた。
理論物理学的にも、時間、空間、質量の感覚が違うであろう究極の地。何かが歪んでいるはずのその異空間に立ち、そこから語られる情熱を、どうやって自分のものにできようか。
後半は、もう一方の“極”である海。伸晃さんを連れて初めて仲間とヨットに乗られた話だが、こちらも凄い。破天荒の海。死を覚悟する瞬間。それでも海に向かう情熱に、人生感を問われるほど心を揺さぶられた。
(以下文中より。)
「奇態なナルシズムが、船を操る人間たちにはある。微笑ましいナルシズム。しかし、ある時には死を賭した行為に裏打ちされているからこそ互いに許し合える一人勝手な自己陶酔。
※
が、思ってみるがいい。自分に酔うことの出来ぬ人間に一体どんな人生があるだろう。自分に酔うことこそ、その人生を支える根源的な情熱ではないか。」
※
「果断に賭けること。それが情熱であり人生だということを知り給え。しかし、僕たちは何とさり気なく、当り前のこととしてこの賭けをしていることだろうか。その不遜さの快さ。」
※
「嵐が人間に向けて暗示する存在論。
※
つまりどこか陸にあって両足でしっかりと君を支えることが出来るならば、その渦中にあって感じる嵐ほど心持のいいものはあるまい。いや、船の上にあっても僕たちは、一種被虐的な恍惚でそう感じることがある。吹きつのり吹き飛び、余りに厳しい嵐の内では、僕たちは相手のかくも猛々しい存在の姿に感歎し息を呑む。そしてそこにまた存在論の逆説が成り立つ。
つまり、その猛々しい存在の条件の渦中にあって尚かく在る自分の見事さ。自分というささやかな存在がその中に辛うじて、しかし確かに在るからこそ、この嵐が在るのだという—。」
※
「信じたまえ。全ての情熱は奇跡なのだ。」
※
「不条理でない情熱などあるものか。」
(文中以上)
語り尽くせるわけないからこれ以上はやめますが、兎にも角にも、こんな素晴らしい本に出会えたのは嬉しく、一生大切にしたいと思う。
私は「自分の会社」という小さな船に、オジサン仲間を乗せて舫を解いた。いつも心が不安で揺れているが、やるしかない。前に進む心は固い。