
見城徹のトーク
トーク情報見城徹 三上雅博三上雅博 「僕が大阪へ来た理由」
北海道から大阪へ。早いもので10年という月日が経ってしまった。
10代〜20代の頃は百貨店の催事で日本全国を飛び回っていた。北海道物産展のイートインコーナーで小樽の鮨を握る。北は青森から、南は鹿児島まで、東京や大阪へは数えきれないくらい握りに行かせて頂いた。どこへ行っても大行列。みんなが僕達を待っていてくれた。目紛しく忙しい毎日だったが、日本全国が北海道物産展を楽しみにしてくれているように感じて、僕はなんだか誇らしくもあった。
僕には、ただ握る場所があればよかったのだ。
15歳の終わりからこの世界に入り、33歳頃に独立開業。その夢と希望はたった3年で潰えた。業者さんにだけは迷惑をかけられない。死んでも支払いをすると決め、読んで字の如く自分の命を差し出した。命からがら生き残り、自己破産。二度目の離婚。信頼は地に落ちた。僕はいつも失敗して全てを失うのだ。
何もかも失った僕は、包丁と、何枚かの服と、かき集めた現金を握りしめ、小樽から舞鶴へ向かうフェリーに飛び乗り、大阪へ向かった。何故大阪だったのか。大阪の街と人は、いつも僕に優しかったからだ。北海道物産展で大阪へ行くのが、どこの地域に行くよりも楽しみだった。だから落ちて落ちて底まで落ちて、ふらっと来てしまった。
そんな僕みたいな偏った人間を、大阪の街は受け入れてくれた。どうやら僕は、まだ鮨を握ってもいいらしい。それが、ありがたいのだ。
大阪に、いつか恩返しが出来たらいい。


