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見城徹

「癒着」という言葉の意味について『広辞苑』を引いてみると「本来関係あるべきでない者同士が深く手を結び合うこと」と書かれている。癒着は悪い意味で使われることが多い言葉だが、仕事を成功させるためには非常に重要な要素だ。  癒着とはどういう状態を指すか。お互いがお互いを必要として結果を出す唯一無二の関係だ。しかし、誰かと癒着するにはキラーカードを持っていなくてはならない。  相手が喉から手が出るほど欲しいキラーカードをこちらが持っている。そして「どうぞ使ってください」とそのキラーカードを惜しげもなく差し出す。  相手も手元にキラーカードを持っており、見返りにそのキラーカードを差し出してくれる。ギブ・アンド・ギブという無償の贈与、テイク・アンド・テイクという無償の報酬の関係は癒着とは言わない。ギブ・アンド・テイクの対等な関係の上に癒着はある。  もし君がキラーカードを1枚しか持っていなければ、その1枚を人に渡してしまった瞬間に弾切れになる。一時的に相手と癒着の関係が構築されるかもしれないが、次に渡すべきキラーカードが1枚も残っていなければ、癒着の関係は早々に終了する。  パートナーとして長く癒着の関係を保つためには、キラーカードを何枚も手元に持っておかなければならない。お互いが圧倒的努力を重ねて何枚ものキラーカードを常に獲得し続けるからこそ、お互いがお互いを必要とする癒着は続いて行く。  そして、キラーカードを切り合った先に、大きな成果が出ると癒着は益々深くなる。  勘違いして欲しくないのだが、「癒着」と「人脈」は似て非なるものだ。僕は「人脈」という言葉を聞くと虫酸が走る。 「仕事ができる人間になるためには人脈が重要だ」と考える人は、異業種交流会やパーティにやたらと出席しては名刺交換に勤しんでいる。大勢の人間が集まる場で名刺を渡し、通り一遍の薄っぺらい世間話をしたところで、癒着と言えるまでの濃密な関係を築けるわけがない。残るのは顔も思い出せない人たちの名刺の山だ。

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見城徹のトーク
トーク情報
  • 見城徹
    ikutamaikutama
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    そして少女は加速する【幻冬舎】宮田珠己
    走力とバトンパスを巡る物語。走者全員が主役になり、精密にバトンを繋いでいく。陸上部のキラキラと輝く練習風景、走る姿の美しさ、力強さが鮮やかに目に浮かび、その瑞々しさに心が踊る。後ろを全く見ないバトンパスやスタートダッシュの秘密は目から鱗。走者の心理状態、勝利のための工夫や努力に気持ちを重ね、ほとばしる決意に鳥肌が立った。
    風のような青春の日々が瞬く間に過ぎていく。最後は、息つく間もなくページをめくる速度が上がり、駆け抜けるように読んでいた。

    見城さんの投稿をみて、この小説に興味を持ちました。小説はあまり得意ではない私ですが、小説こそが自分の欠けているものを補ってくれることに気づきました。登場人物の固有名詞を覚え、それぞれの背景を丁寧に理解していく営みは、私の“雑な性質”を正してくれると感じました。他者の物語に純粋に興味を持ち真摯に耳を傾ける。その魅力と価値に気づかせてくれる一冊でした。ありがとうございます。

  • 見城徹
    死ぬために生きる死ぬために生きる

    見城さんが銀座[藁焼きおのでら]で飲まれたワイン

    左から

    ジャクソン キュヴェ 748

    ルフレーヴ バタール・モンラッシェ 2019

    ルフレーヴ ヴィアンヴニュ・バタール・モンラッシェ 2019

    ダヴィド・デュバン シャルム・シャンベルタン 2017

  • 見城徹
    見城徹

    ↑ 前列左 ラオックス羅。右 TKP河野。後列左 おのでらグループ小野寺。右 メモリード吉田。