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見城徹

「癒着」という言葉の意味について『広辞苑』を引いてみると「本来関係あるべきでない者同士が深く手を結び合うこと」と書かれている。癒着は悪い意味で使われることが多い言葉だが、仕事を成功させるためには非常に重要な要素だ。  癒着とはどういう状態を指すか。お互いがお互いを必要として結果を出す唯一無二の関係だ。しかし、誰かと癒着するにはキラーカードを持っていなくてはならない。  相手が喉から手が出るほど欲しいキラーカードをこちらが持っている。そして「どうぞ使ってください」とそのキラーカードを惜しげもなく差し出す。  相手も手元にキラーカードを持っており、見返りにそのキラーカードを差し出してくれる。ギブ・アンド・ギブという無償の贈与、テイク・アンド・テイクという無償の報酬の関係は癒着とは言わない。ギブ・アンド・テイクの対等な関係の上に癒着はある。  もし君がキラーカードを1枚しか持っていなければ、その1枚を人に渡してしまった瞬間に弾切れになる。一時的に相手と癒着の関係が構築されるかもしれないが、次に渡すべきキラーカードが1枚も残っていなければ、癒着の関係は早々に終了する。  パートナーとして長く癒着の関係を保つためには、キラーカードを何枚も手元に持っておかなければならない。お互いが圧倒的努力を重ねて何枚ものキラーカードを常に獲得し続けるからこそ、お互いがお互いを必要とする癒着は続いて行く。  そして、キラーカードを切り合った先に、大きな成果が出ると癒着は益々深くなる。  勘違いして欲しくないのだが、「癒着」と「人脈」は似て非なるものだ。僕は「人脈」という言葉を聞くと虫酸が走る。 「仕事ができる人間になるためには人脈が重要だ」と考える人は、異業種交流会やパーティにやたらと出席しては名刺交換に勤しんでいる。大勢の人間が集まる場で名刺を渡し、通り一遍の薄っぺらい世間話をしたところで、癒着と言えるまでの濃密な関係を築けるわけがない。残るのは顔も思い出せない人たちの名刺の山だ。

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見城徹のトーク
トーク情報
  • 見城徹
    見城徹

    ↑ これが[見城徹に会わせたい10人]の第1回です。ゲストは中古車業界の革命児・中野優作。
    悪魔にしてナイスガイ。この両立は中野優作にしか出来ない。

  • 見城徹
    見城徹
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    昼は秋谷の[蕎麦 桶や]。秋谷に来ると必ず寄る。何を頼んでも期待を裏切らない。ヘルシーで抜群に美味しい稀有な店。これは、おから。

  • 見城徹
    YumikoYumiko
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    先日、見城さんが歌舞伎座で林真理子さんと偶然会ったことを投稿されていて、その時の様子が、なんと今週の『週刊文春』の林真理子さんのコラム、「夜ふけのなわとび」に詳しく書かれている。
    横内謙介さん脚本・演出の『きらら浮世絵伝』の話から、出版界の話まで。

    見城さんの外見が、37年前とあまり変わっていなくて、キャップ、ジャンパーにデニムがきまっていた、というくだりは、見城さんが大好きな我々読者にとっては、やはりたまらなく嬉しい。

    週末、実家に立ち寄って探し物をしていたら、偶然このストラップを見つけた。
    25年前の2000年。この頃も林真理子さんのコラムが大好きで、ある時、文藝春秋社の企画に応募し、高い倍率をくぐり抜け、林さんの限定オリジナルストラップを手に入れた。当時の同僚で、今は国会議員の田島麻衣子が隣の席だったので、軽く自慢してみたけど、これを見ただけでは、全くわけがわからないといった様子。それでも、非常に嬉しかったのを覚えている。
    その後時を経て、見城さんとお会いすることができ、今も変わらず林さんの執筆するこのコラムを読んでいる。何という奇跡。

  • 見城徹
    見城徹

    ↑ 時代を往還した何という胸に沁みる投稿!
    写真のストラップが立憲民主党の田島麻衣子さんの挿話と共に心憎いまでに効いている。ということは25年前、2人は新日本監査法人に勤務していたということか?誰にも青春はあった。それが現在の何かの瞬間に再び輝き出す。その思い出を噛み締めて今を生きる。Yumikoの佇まいが目に浮かび、息遣いが聴こえて来るようだ。
    時は流れる。人は生きる。今日は一瞬で過去になる。ユーミンが[12月の雨]を歌っている。
    「時はいつの日にも親切な友達。過ぎてゆく昨日を物語に変える」
    甘くて切ない人生。中村勘九郎演じる蔦屋重三郎が写楽の見得を切る『きらら浮世伝』のラスト。鳥肌が立ったこのラストの所作がストラップの横でイラストになっている。このイラストを描くために平松昭子さんも『きらら浮世伝』を観たということか?交錯する平松昭子のイラストとYumikoのストラップ。この写真には人生そのものが滲んでいる。今発売中の[週刊文春]の林真理子「夜ふけのなわとび」。まだ、間に合う。秀逸なエッセイを多くの人に味わって欲しい。
    そして、歌舞伎座の『きらら浮世伝』は明日まで演っている。