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見城徹

石原慎太郎のエッセイ[男の世界]に収録された《男の言い訳》の文章です。 イギリスの不世出の名ラガーといわれたある選手が、ある大試合でタイムアップぎりぎりに逆転のトライを挙げた。大観衆は総立ちとなって歓声を上げたが、レフリイの無情のホイッスルが鳴り、寸前に反則がありトライは認められず、そのままノーサイドとなって試合は彼のチームの負けとなった。 しかし試合後も、あの時のレフリイの判定が正しかったかどうか、しきりに議論の的になったが、当の選手は、 「ラグビーの試合ではレフリイは神に等しい」 と一言いっただけで、彼は一切ものをいわなかった。当時のこととてビデオテープもなく、判定が正しかったかどうかは遂に判定されずに終ったが、人々はその惜敗に奮起して次のシーズンの彼の活躍を期待したが、第一次大戦が始まり、世の中はもはやラグビーどころではなくなった。 その戦争の最中、ある激戦地の野戦病院で、ある軍医が重症を負った一人の兵士を看護した。兵士の認識票を見て、医者は驚いた。ラグビー気狂いだった医師にとっては忘れ難い名前、かつてのあの大試合のヒーローが、この重症の兵士だった。 それを知って医師は看護に専心したが、傷は重く、遂にその兵士は死んだ。 彼の臨終の際、すでにファンと選手として相識る中になった医師が、かつての名選手に、何かいい残すことはないか、と尋ねた時、死に際の懺悔の聴聞を終った後、件の選手はかすかに唇を動かし、聞きとり難いほどの低い声でいった。 「あの試合のあのトライは間違いがなかった。レフリイが間違っていたのだ」と。 一生をかけた遺言としての、この言い訳を信じぬものがどこにいるだろうか。

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見城徹のトーク
トーク情報
  • 見城徹
    見城徹

    おはようございます。2025年1月22日。
    大阪で[mikami limited 50]を営む鮨職人・三上雅博がリトークしてくれた2020年12月の僕のトークです。↓

  • 見城徹
    見城徹見城徹

    最後は開き直るしかない。中学の時に不良たちに呼び出された学校の近くの神社に一人で向かいながら、鉄パイプを鞄に忍ばせて決めた僕の戦いの哲学です。死んでもいい。もうこいつらの好きにはさせない。そう覚悟を決めました。あの瞬間から僕の人生は動いた気がします。

  • 見城徹
    三上雅博三上雅博


    おはようございます。
    2020年12月の親父の投稿のリトークです。

    開き直り。恐怖に打ち勝つための必殺技。人生を動かすためには命を捨てる覚悟が必要だ。
    狼は生きろ。豚は死ね。
    吠えろ。そして立ち向かえ。
    これで死んでもかまわない。

    本日も皆様、宜しくお願い致します。

  • 見城徹
    三上雅博三上雅博

    「見城徹に会わせたい10人」
    面白い企画が始まった!続きが気になりすぎます。今後もどんな人が登場するか楽しみです。

    動画を観終わって、ふと思い出した。
    自分がいつ死ぬのが怖いと思ったのか。
    小学校一年生の頃、母に「もし僕が死んだら泣いてくれる?」って聞いて滅茶苦茶怒られた。
    だって担任の教師が生死の話の延長で、親にそう聞いてみたら良いと言ったから。
    母は泣いていた。僕は悲しませてしまった事が申し訳無くて、胸が苦しくなって一緒に泣いた。

  • 見城徹
    見城徹

    ↑ 箕輪厚介が企画した[見城徹に会わせたい10人]。第1回ゲストは中古車販売の革命児・BUDDICAの中野優作社長。めちゃくちゃ面白い。めちゃくちゃ役に立つ。これを最後まで見るか、見ないかであなたの人生が少し違って来る。と僕は思っている。本当に申し訳ないが、後半は幻冬舎モバイル・見城徹コースに加入してくれないと見ることが出来ない。是非、加入して下さい。よろしくお願いします。営業でした。