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見城徹

9月26日、中野量太脚本・監督の「湯を沸かすほどの熱い愛」の試写を観た。 映画を観ながら、ここまで身体を震わせて号泣し、異様な感動に包まれたのは初めてかも知れない。余命2ヶ月の母親の、胸が詰まる悲しい物語なのに、衝撃のラストシーンに慟哭しながら、清々しい気持ちに満たされる自分がいた。 日本の地方都市のありふれた無名な家族の営みが丹念に描かれる。 余命2ヶ月を宣告された母親が夫や子供たちにどのような生き方を示すのか?つまり、どのように死んで行くのか?小さな生きる営みの一つ一つ。そこら辺の路傍の石の一つ一つが宝石のように輝きを放ち始め、大きな光の渦となる。死にゆく者が生きる者たちへ放つ強く、凛々しく、優しい眼差し。死にゆく者が全身で照らし出す、一歩も引かない生きることへの覚悟と決意。 母親役の宮沢りえの圧巻の存在感。娘役の杉咲花、伊東蒼の健気さと純情。夫役オダギリジョーの愛すべきチャランポラン。家族に絡む松坂桃李、駿河太郎、篠原ゆき子に滲む人生の味わい。 低予算で作り出した奇跡としか形容出来ない圧倒的な映画。 脚本・監督の中野量太とスタッフと製作陣、出演者たちに腹の底から呻くような絶賛の嵐を送ります。 これが映画だ。 ブラボー! 有難う!

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