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見城徹
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フォアマン戦、あの殺人パンチを、あの半端ない圧力を何回かいくぐったのでしょう。自分のスピード、テクニック、戦術、そして圧倒的な根性で。 あのパンチが怖くない人間はいないはずです。 でもクリティカルヒットを避け、一瞬の隙をつき続ける。あの戦いには人生訓が込められています。 どんなに困難な場面や、足が震えるような苦しい状況に追い詰められようと、ロープを背負いながらも、信念を曲げずに行動し続ける。

9対1でフォアマンの勝利が予測されていました。若くてヘビー級最強王者の呼び声も高いフォアマン。3年半のブランクがある30歳を過ぎた下り坂のアリ。 メキシコオリンピック金メダルのフォアマンを見ていた僕はフォアマンにずっと注目していて、ザイールまで行きたいくらいでした。 互角だったのは1ラウンド目だけで、フォアマンの破壊力を実感したアリは2ラウンド以降は作戦を変更、ロープ・ア・ドープというロープを背負う戦略でガードを固めながらもフォアマンに打たれ続けました。フォアマンの体力の消耗を待って一撃のチャンスを待ったのですね。 アリも疲れていましたが足は動いていました。 8ラウンド、アリに打ったパンチで僅かにバランスを崩したフォアマンをアリは体を入れ替えて一瞬の華麗なワン、ツウを叩き込みマットに屠りました。美しい逆転KOでした。 アリにはイメージが出来ていたと思います。そして、イメージ通りに勝ったのです。ボクシングが高度な精神のスポーツであることを見事に証した歴史に残る試合でした。 負けたフォアマンは、その後宣教師になり、20年後カムバックして、45歳で王者マイケル・モーラーを一撃で沈め奇跡的な王座奪回を果たします。 ボクシングは人生そのものです。

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