思い残すことなく死ぬために
トーク情報- 死ぬために生きる
死ぬために生きる 2ヶ月後の復帰に向け、筋肉を戻して脂肪を落とすために、錘入りのリュックを担いで山をランニングしている。
熊などもたまに出る山なので、神経を張り巡らせながら走っている。
すると、神経を張り巡らせ過ぎて敏感になっている僕の頭上を、何かが掠めていくように飛んでいった。
映画や小説の中でしか出会ったことがない鳥が、首を回転させてこちらを見つめていた。
フクロウだ。実に田舎である。
「不苦労=苦労しない」など、日本ではなんとなく縁起がいい意味合いを持ち、ギリシャ神話でも女神アテナの使いとして、「知恵、理性、洞察力」の象徴という前向きな意味合いを持つ鳥だ。
しかし、アジアやアフリカの一部では、フクロウの鳴き声が聞こえると「死の前触れ」だと伝えられている地域もあるそうだ。
幸か不幸かどちらの前触れか。
そんなことはどうでもいい。
すっかり訛った身体に鞭を打ち、圧倒的努力で結果を掴む。
この身体が納得いく身体に仕上がるか毎日不安だが、暗闇の中でジャンプし続けるしかない。
僕は絶望しきって引退する。絶望しきって死ぬ。
そのために毎日やり切る。毎日生き切るのだ。
闘う。