Greenjays見城さん、本当に有難うございます。一つ一つのトークに何度助けて戴き、導いて戴いた事でしょうか。755とこの世あらざるトークルームを、超多忙かつ何のベネフィットも無い中で、細やかに継続戴いている見城さんに、心底感謝しております。これからも何卒宜しくお願い致します!
見城徹のトーク
トーク情報見城徹 三上雅博三上雅博 えんじゅの並木路で 背をおさえつける
秋の陽なかで
少女はいつわたしとゆき遇うか
わたしには彼女たちがみえるのに 彼女たちには
きっとわたしがみえない
すべての明るいものは盲目とおなじに
世界をみることができない
なにか昏いものが傍をとおり過ぎるとき
彼女たちは過去の憎悪の記憶かとおもい
裏ぎられた生活かとおもう
けれど それは
わたしだ
生まれおちた優しさでなら出遇えるかもしれぬと
いくらかはためらい
もっとはげしくうち消して
とおり過ぎるわたしだ
ちいさな秤でははかれない
彼女たちのこころと すべてたたかいを
過ぎゆくものの肉体と 抱く手を 零細を
たべて苛酷にならない夢を
彼女たちは世界がみんな希望だとおもっているものを
絶望だということができない
わたしと彼女たちは
ひき剥される なぜなら世界は
少量の幸せを彼女たちにあたえ まるで
求愛の贈物のように それがすべてだそれが
みんなだとうそぶくから そして
わたしはライバルのように
世界を憎しむというから
ーーー吉本隆明『少女』
「荒地詩集1956」(昭和31年)所収