三上雅博のトーク
トーク情報- 三上雅博
三上雅博 人生で初めて天然本鮪のトロを食べた日のことを、昨日の様に思い出します。
僕は小学四年生の頃から三年間、学区内のサッカー少年団「イレブン」と言うチームに所属していました。当時アニメで観た「キャプテン翼」に憧れてサッカーを始めました。
決してスポーツ万能では無かったと思います。足がちょっとだけ速かったのも一瞬の栄華に過ぎず、必死な事以外に取り柄なんてありませんでした。ポジションは紆余曲折して最終的にキーパーになりました。試合で負けていると、キーパーなのにも関わらず、試合終了間近には自ら攻撃に加担したりしていました。
監督に怒られる事も多かったのですが、心を打つ事もあったらしく、少年団の会報で唯一僕だけが名前を載せてもらいました。それがきっかけで周りからいじめられました。共同体の中で、自分だけが浮いた存在だったのだと、今ははっきりと理解出来ます。当時の僕には絶望でした。
色んな事があったはずの小学校での記憶はほとんどが消えかけていて、思い出すのは外での経験ばかりです。
小学五年生の秋頃です。僕達がサッカーの試合で勝利したある日、父「勝利」がパチンコで勝利しました。
「勝ったお祝いに寿司屋に連れて行ってやる。」
僕にとって人生初めての寿司屋。その言葉に胸が高揚したのを覚えています。
いざその時を迎え、地元の有名店へ。「小樽寿司屋通り」を全国に知らしめた名店のひとつです。胸の高鳴りを抑え、のれんをくぐった奥に広がっていたのは「初めて」ばかり。そこでは威勢の良い声が飛び交い、目に映るのは長い白木のカウンター。粋な白衣を着て、イキイキと鮨を握る職人さん達が立ち並ぶ光景に、僕は目を奪われました。
僕達家族は「小上がり」に通されました。父が「上にぎり」を4人前頼んでくれて、家族4人で目を輝かせながらその時を待ちました。
待望の鮨は、綺麗で、輝いていて、あまりにも美味しくて一瞬で無くなってしまいました。
食べ盛りの小学生2人。鮨の八貫くらいでは満足できないのを察し、追加してくれる事になりました。
鉄火巻きとカッパ巻きを一人前ずつ頼む事が決まり、あとは何を食べたいか聞かれた僕は「トロ」と言いました。高価であるのは噂で知っていましたが、食べ物の味に貪欲な僕はどうしても食べてみたくて、我慢できなかったのです。そうして父は震える声で「トロ一人前」をサビ抜きで注文してくれる事となったのです。
目の前に置かれた「トロ一人前」10貫サビ抜き。全てが衝撃でした。世の中にこんな美味しいものがあったのかと。小学生にして、今後の人生において、これを超えるものに出会えない様な予感すら感じてしまいました。
トロだけで一人前8000円だったそうです。当時住んでいた長屋の市営団地の家賃もそれくらいでした。ありがたい。感謝です。
この経験が、僕のその後の人生にもたらした影響は計り知れません。 三上雅博 見城徹見城徹 僕の嫌いな[夢]について初めて少し語ります。
18歳と27歳の時、中学時代からの夢が実現しました。しかし、若さ故の意気がりか、ようやく手に入れたその夢を自分から手放しました。そこに安住したくなかったのです。今でも時々、後悔します。そして、34歳の時、熱狂の末に手に入れた夢は年を追うごとに色褪せました。つまり、それらは実現してみると自分の生きるモチベーションにはなり得なかっだのです。勝手なものです。
今、僕は幾つかの夢を実現したと思っています。しかし、それらは実現した後、そうか、これが自分の夢だったんだと気付いたのです。僕には今、果たし得ていない夢が3つほどあります。一番大きなものは僕が生きている内はに実現しないでしょう。現実は苛酷で、一つを得るためには一つを失わなければなりません。残りの年月を考えると
切なくなりますが、どれを優先するか?は覚悟を決めた選択の問題になります。人生は長いようで短い。73歳になってそのことが胸に沁みます。
今日の絶望を明日の苛酷に。夢は実現した後にそれが本当に自分の夢だったのか吟味して語るものです。結論はきっと人生の最後の日にしか出ないものかも知れません。- 三上雅博
三上雅博 ↑
おはようございます。
2024年5月の親父の投稿のリトークです。
劣等感を抱き続けながら生きてきた僕に、夢や希望は語れない。僕には地獄が向いている。現実に絶望するのが真実だ。僕は選ばれし人間でも無ければ、俗に言う天才でも無いのだから。単純に、ガキのまま大人になった面倒臭い頑固者の大馬鹿野郎。昨日までの弱い自分を殺すだけでも目一杯。精一杯。
未確定な未来の先に存在する「夢」。目を輝かせながら夢を語る人達とは。距離を置く傾向すらある。僕にはそれが眩しすぎて見ていられないから。耳障りの良い言葉は僕を憂鬱にさせるから。
何かを成した後に訪れる静寂だけが、僕を夢見心地にしてくれる。その一瞬のために、ただ現実を進むのだ。リアルに生きて死んでいけ。
本日も皆様、宜しくお願い致します。