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見城徹

 吉本隆明著 1952~53 「分裂病者」 不安な季節が秋になる そうしてきみのもうひとりのきみはけっしてかえってこない きみははやく錯覚からさめよ きみはまだきみが女の愛をうしなったのだとおもっている おう きみの喪失の感覚は 全世界的なものだ きみはそのちいさな肺でひとりの女をではなく ほんとうは屈辱にしずんだ風景を抱くことができるか きみは火山のように噴きだす全世界の革命と それをとりまくおもたい気圧や温度を ひとつの加担のうちにとらえることができるか きみのもうひとりのきみはけっしてかえってこない かれはきみからもち逃げした 日づけのついた擬牧歌のノートと 女たちの愛ややさしさを 睡ることの安息と 秩序や神にたいする是認のこころと 狡猾なからくりのおもしろさと ひものついた安楽と ほとんど過去の記憶のぜんぶを なじめなくなったきみの風景が秋になる きみはアジアのはてのわいせつな都会で ほとんどあらゆる屈辱の花が女たちの欲望のあいだからひらいた 街路をあゆむのを幻影のようにみている きみは妄想と孤独とが被害となっておとずれるのをしっている きみの葬列がまえとうしろからやってくるのを感ずる きみは廃人の眼で どんな憎悪のメトロポオルをも散策する きみはちいさな恢復とちいさな信頼をひつようとしていると 医師どもが告げるとしても 信じなくていい きみの喪失の感覚は 全世界的なものだ にんげんのおおきな雪崩にのってやがて冬がくる きみの救済と治療とはそれをささえることにかかっている きみのもうひとりのきみはけっしてかえってこない きみはかれが衝げき器のヴォルテイジによってかえると信ずるか おう それを信じまい きみの落下ときみの内閉とは全世界的なものだ 不安な秋を不安な小鳥たちがわたる 小鳥たちの無言はきみの無言をうつしている 小鳥たちが悽惨な空にちらばるとき きみの精神も悽惨な未来へちらばる あわれな不安な季節め きみが患者としてあゆむ地球は アジアのはてに牢獄と風てん病院をこしらえている

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見城徹のトーク
トーク情報
  • 見城徹
    ikutamaikutama

    『編集者三羽烏』が頭から離れない。
    島本脩二 小学館
    小黒一三 平凡出版(マガジンハウス)
    見城徹  角川書店

    島本さんは「まったく読書をしない人の家に、1冊だけ置いてある本を作りたい」と考え、糸井重里を起用して矢沢永吉の『成りあがり』を出版。文庫版は当然系列会社の集英社から出るものと思われていたが、見城さんがしぶとく交渉して、角川文庫から出版され、100万部を超えるベストセラーになった。後日、島本さんは「かなりいい条件を角川が提示してきた」と話している。(参考:Wikipedia)

    坂本龍一さんは日本経済新聞のインタビューにこう答えている。
    https://www.nikkei.com/article/DGXMZO35963470R01C18A0000000/
    日本の雑誌もかつてはそれ以上に勢いがあったんですよ。よく仕事をさせてもらったのは角川書店にいた見城徹さん、マガジンハウスにいた小黒一三さん、小学館にいた島本脩二さんの3人。日本出版界の黄金期をけん引したカリスマ編集者で、それぞれ思い出が深いですね…3人とも人間的な魅力にあふれたエネルギッシュな編集者。自分たちが一番面白がって仕事をしていましたね」

    島本脩二「編集は対話から始まる」(島本さんの講座のタイトル)
    小黒一三「編集は嘘をつくこと」 (菅付雅信『東京の編集』)
    見城徹「編集とは感動だ」(『編集者 魂の戦士』)